みなさんこんにちは、東京都杉並区立松庵小学校5年の増井真那です。文部科学大臣賞を受賞することができてとてもうれしいです。知らせを聞いた時はとてもびっくりしました。5年間の実験に参加して苦労してくれた変形菌たちにも知らせられたらいいなと思っています。
5歳のときにテレビ番組で変形体が動いているのを見たのが変形菌との最初の出会いでした。すごくきれいで不思議な生き物だと思い、それから自分で野生の変形体を探して飼育するようになりました。今では6種類も僕と一緒に生活しています。おもしろくてかわいいので種類ごとに名前を付けています。例えば、イタモジホコリはノビスカちゃん、アカモジホコリはチミニーちゃんです。小学1年生から続けている僕の変形菌の研究は、自分で採集した野生の変形体を複数使っているのが特徴です。自然の中でみつかるのはほとんどが子実体で、変形体はなかなか見つかりません。見つかったとしても飼育し続けるのはとてもむずかしいです。種類ごとに適する餌や環境を探したりしながら毎日世話をして、多い時で約80ケースの野生の変形体を長期飼育しています。昨年は野生の変形体に子孫をつくらせ、育てることに成功しました。それまでは飼育して実験をするだけでしたが、世代を紡ぐことができるとわかり、とてもうれしかったです。5年の間、研究を続けることができたのは、仮説を立てて、実験をするとその結果から次々と新しいなぞや仮説が出てくるからです。僕はなぞが大好きなのでそれを続けているうちに5年も経っていました。やってきたことを論文にまとめるのは研究の内容や変形菌のことをたくさんの人と話し合いたいからです。ほとんどの人は変形菌のことを知らないけれど、変形菌は身のまわりにもたくさんかくれている身近な生き物です。「変形菌は生き物に見えないよ」という人も多いけれど、そうではなくて、実験の結果から種類ごとに動きや性格が違って、出会った相手がくっついて一つの自分になれるかどうかを判断して行動を決められる、人間にもないすごい力を持った生き物だということが分かりました。これからも、変形体の自分と他人を見分ける力についてもっと深めていきたいと考えています。
5年間、研究を続けてこられた理由がもう一つあります。それはたくさんの人がいつも色々教えてくださり、応援してくれたからです。みなさんにありがとうの気持ちを伝えたいです。変形菌の研究を続けているとたくさんの人とつながる機会ができます。カビや鳥や昆虫や動物の骨など、違う分野の研究をしている人ともたくさんお知り合いになれました。研究を指導してくださった出川先生に特にお礼を言いたいです。5歳の時から僕に変形菌のことだけではなく、自然のことなら何でも教えてくださいました。変形菌のことを知るためには、自然の中のつながりを全て知る必要があるのだ、ということを教えてくだ
僕の最終目標は変形体とお話しができるようになることです。それは変形体ともっと仲良くなりたいし、変形体が自然の中で何を考え、どういう役割をしているのか、人間の目には見えない、自然の中のつながりがどうなっているのかを教えてもらいたいからです。
そして、そのことをみんなと話し合えたらいいなと考えています。
これからもがんばります。今日は本当にありがとうございました。
静岡県浜松市から参りました露木愛と申します。この度は大変栄誉ある賞を頂きありがとうございます。私はもちろん私の家族も今日をとても楽しみに来て参りました。友達や先生方も自分のことのようにこの受賞を喜んでくださいました。私は小学4年生からドジョウを飼育している水槽での水耕栽培について研究をしてきました。3年生の時に校外学習で水耕栽培の農場を見学し、水に化学肥料を溶かして土が無くても野菜が栽培できることを知りました。家の前の水路や通学路の川に大きな草がたくさん生えているのをみて、肥料が無いのにどうして育つのだろうと思ったのが研究の動機でした。排水路に直接チンゲン菜の苗を浮かべて近所の方に笑われたりもしました。水槽では伸びた根を金魚に次々食べられたりもしました。2年目からは水槽の底にいて腸呼吸もできるという理由からドジョウを飼育し、その水面で水耕栽培をするようになりました。そして今回、ドジョウも食べられることを知り、大きく美味しく育つように餌も考えました。結果的に大変美味しい野菜とドジョウが育ちました。生育スピードは劣りますが、化学肥料を使わなくてもドジョウに餌を与え、水中の微生物環境を整えることで水耕栽培ができたことに大きな喜びを感じています。野菜や魚は生育環境や肥料、餌によって味が大きく変わることも分かりました。この装置がいつか社会の役に立てたらよいなと思っています。夢は宇宙空間等の閉鎖空間での利用です。廃棄物を餌にドジョウが育ち、植物が光合成により二酸化炭素を酸素に変えて成長もしていく、そんな循環が可能になったらおもしろいなと思っています。それと私の住んでいる浜松市は特産としてウナギが有名です。だから、いつかドジョウだけでなくウナギでも試してみたいと思っています。この4年間に多くの方からアドバイスを頂きました。水生生物、農業、微生物それぞれの分野の専門的な指導を受けることができ、一つの飼育栽培装置として出来上がりました。まだ小学生だった私、中学に入ったばかりの私に丁寧なご指導、アドバイスを下さった農研機構野菜茶業研究所の篠原先生をはじめ、たいへん多くの方々、先生方に心から感謝致します。中学に入ってやりたいこともやらなければならないことも増えましたが、この受賞を励みに更に研究を深めていきたいと思います。
本日は本当にありがとうございました。