第53回入賞作品 小学校の部
3等賞

水は「まほう」のせっ着ざい
~水は、すごい力をもっていた~

3等賞

茨城県稲敷市立江戸崎小学校3年
松田 友理恵
水滴空気
  • 茨城県稲敷市立江戸崎小学校3年
    松田 友理恵
  • 第53回入賞作品
    小学校の部
    3等賞

    3等賞

研究の動機

 おふろの壁(かべ)に3年生で習う漢字の表がはってある。何でつけているのか、見ると水だった。水には接着剤(せっちゃくざい)と同じように、物をつける力がある。水が接着剤になれば、はがした時に何も残らず、環境にもよいが、簡単にはがれてしまう。強くつけることができれば、実際に使える。1㎏ほどの物をつることができればいいなと思い、研究をはじめた。

【実験1】水でどのような物がつくか調べ

《方法》

ハンカチ、輪ゴム、プラスチックの定規、ガラス板、ちり紙、コピーの紙に水をつけて、ガラス窓にはった。

《結果と考察》

どれもついた。はがす時にガラス板がはがれず、乾(かわ)いてから取った。

【実験2】水はガラスとガラスの間に、どのように広がるのか調べる

《方法》

顕微鏡の観察で使うスライドガラスの端(はじ)に、注射器で水を5滴たらす。その上に、もう1枚のスライドガラスを端の方からゆっくり重ね合わせながら、水の様子を観察する。

《結果と考察》

水はガラスとガラスの間の、せまい所に入るようにして広がった。水は、ガラスとガラスをくっつける働きをしている。

【実験3】 水がすき間なく入る、ガラスの重ね方を調べる 

《方法》

1枚のスライドガラスの上に水を5滴たらし、もう1枚のスライドガラスを重ねる。
重ね方は4種類、
水滴を、横方向に置いたガラスの左端にたらし、上のガラスを左端からゆっくり重ねる。
水滴を中央上部にたらし、上のガラスを上部端からゆっくり重ねる。
水滴をガラス中央部にたらし、ガラスを真上から落として重ねる。
水滴をガラス右端にたらし、上のガラスを右から左へ、横からすべらせるように動かしながら重ね合わせる。

《結果と考察》

重ね方によって、ガラスとガラスの間への空気の入り方が違った。重ね方は端の方に空気が入った。 は真ん中に空気が入った。 は空気が入らなかった。これからは の方法でガラスとガラスをしっかりくっつけ、実験をする。

【実験4】 水の量とつく強さの関係を調べる

《方法》

2枚のガラスのそれぞれの片面、ひもを引っかけるフックを両面テープで取りつける。1枚をスタンドからつるし、もう1枚にはおもりをつるして、2枚のガラスを水滴ではり合わせる。バケツに入れたおもり(砂利)の量を少しずつ増やしていき、2枚のガラスがはがれた時の水滴の量とおもりの重さを調べる。《結果と考察》水滴の量が少ないほど、強くつくことが分かった。水1滴の量をもっと少なくすると、つく力をもっと大きくできるのでは。

《結果と考察》

水滴の量が少ないほど、強くつくことが分かった。水1滴の量をもっと少なくすると、つく力をもっと大きくできるのでは。

【実験5】 1滴の水の量を少なくした時のつく強さを調べる

《方法》

注射針の太さを3種類(太・中・細)にして1滴の量を変える。実験4と同じ方法でおもりの重さを調べるが、ガラス間の水の様子を観察するため、最初に水滴ではり合わせてから両面テープでフックを付け、装置に取り付けた。

《結果と考察》

注射針が「太」の時につり下げた重さは3.2㎏、「中」では4.1㎏、「細」では5.2㎏と、1滴の量を少なくした方が、つく力が大きくなることが分かった。「太」の針の1滴では、水がガラスの外にはみ出した。上から強く押すと、ガラスが横にすべった。「中」と「細」では、ガラスとガラスを重ねた時に力を入れないとすべらなかった。フックを取り付ける時に、上から強く押すと横にすべった。横にずらすとすべらないのに、上から押すとすべるのが不思議だ。強くつくと、ガラスに虹(にじ)のような模様(もよう)ができることも分かった。
 もっと強くつけるためには、水をもっと少なくする方法、少ない水をガラスの間に広げる方法を見つければよいと思う。

【実験6】 水はどのようにしてガラスの間に広がるのか調べる

 ガラスにはさまれた水は、ガラスの動きと一緒に動くと思う。

《方法》

注射針「細」で水1滴をガラス中央にたらす。もう1 枚のガラスを上から重ね、水が広がった所から1㎝離れた所に印をつける。ガラスをずらして、水が印まで(1㎝)移動するまでのガラスが動いた長さを測る。

《結果と考察》

ガラスにはさまれた水を1㎝動 かすために、ガラスが2㎝動くことが分かった。

【実験7】 ガラスにはさまれた水が動く様子を調べる

 水は粒(つぶ)のようになってころがっていると思う。

《方法》

大きなガラス板に、あらかじめ液体のりをまぶしておいた手芸用の粒状の発泡スチロールをのせ、もう1枚のガラス板ではさむ。発泡スチロールの粒を5㎝動かすために、ガラスを何㎝動かせばよいかを調べる。

《結果と考察》

ガラスは10㎝動かせばよい。もう1枚のガラスを乗せて上から押すと、発泡スチロールの粒は積み重なって広がりにくい。そこで、左右にガラスを動かすと粒は広がった。水をはさんだ時もガラスを横に動かせば、水が広がっていくのではないか。

【実験8】 ガラスにはさんだ水が、どのようにすれば広がるのか調べる

《方法》

ガラス中央に水を1滴たらし、もう1枚のガラスではさむ。水の広がりを色ペンでしるし、次の方法を試して、水の広がりを別な色ペンでしるす。指で強くガラスを押す。 ガラスを左右にずらす。 自動車の車輪で乗り上げる。 クリップではさむ。 木の棒でゴリゴリこする。

《結果と考察》

の車輪では、ガラスが壊れた。 の指、 のクリップでは、水はあまり広がらなかった。 では、水を広げることができたが、何度か動かすと固くなり、たくさんの力が必要だ。手を切ってしまった。 の木の棒でも水が広がった。

【実験9】 水滴をはさんだガラスをずらす回数が多いと、つく力も大きくなるか調べる

《方法》

注射針「細」で水1滴をガラスにたらす。横からすべらせる方法でもう1枚を重ねる。ガラスの端から5㎜の所につけた印までガラスを重ねたままずらし、よ分な水をふき取ってまたもどす。これを1回のずらす動作として、10回ずつ回数を増やし、その時の強さ(おもりの重さ)をはかる。

《結果と考察》

ガラスをずらすたびに、水が少なくなる。この方法では、ずらす回数を増やすと、つく力も大きくなることが分かった。しかし、ずらす回数が増えていくとガラスがはりつき、大きな力が必要だった。40回以上はお父さんに手伝ってもらった。それでも60回に近づくと、ずらすことはできなくなった。

【実験10】 水滴をはさんだガラスをこする回数が増えると、つく力はおおきくなるか調べる

《方法》

実験9と同様にガラスを重ねる。木の棒でガラスをこする回数を5回ずつ増やし、おもりの重さをはかる。

《結果と考察》

こする回数が増えると、つく力も増えていく。15回が一番強かったが、それ以上こすると、つく力は弱くなった。こすればこするほど、ガラスはすべりやすくなった。

【実験11】 水滴をはさんだガラスの 「ずらす」「こする」を交互に繰り返せば、 つく力が大きくなるか調べる

《方法》

実験9と同様にガラスを重ね、すべりずらくなるまでずらす。次に実験10と同様に15回こする。これを一連の動作として5回繰り返し、おもりの重さをはかる。

《結果と考察》

実験9、10それぞれよりも、ガラスを強くつけることができた。横にずらして固くなったガラスも、こすると軽くなった。これまでの実験で最高の14.9㎏のおもりをぶら下げられた。

感想

 水を使ってガラスとガラスをつける方法を見つけ、最初に考えた1㎏をはるかにこえる、10㎏以上の物をつるすことができた。水の力を使って、環境が少しでもよくなればうれしい。

指導について

指導について稲敷市立江戸崎小学校 紺野 芳子

 今回の研究は、「水を利用し壁に貼り付けて使うプラスチックシート」からヒントを得て始めたものです。また、付く力を大きくし接着剤として使うことができれば、環境を守ることにもつながるという児童の願いが込められています。
 貼り付く強さを大きくするために、水をスライドガラスに挟んだものの上下にフックを付けて重りをぶら下げ、調べていきました。調べる中でガラスに挟む水の量を少なくすると貼り付く強さが大きくなることを発見することができました。さらに、挟む水を少なくするための方法をモデルを使い考え、より少なくする方法へと発展させていくことができました。
 調べる材料や実験器具などは、近くのホームセンターや小学校にあるものばかりです。そんな身近なもので調べ、その成果として14kgを超える重りをつるしたという成果に驚くばかりです。

審査評

審査評[審査員] 赤石 保

 「水がもし、せっ着ざいになれば、いいことたくさんある」という思いから始まった研究です。身の回りの何気ない事柄や疑問から問題を見つけることは大切なことです。また、実験の手順として仮説に理由をつけるところがいいです。実験の方法では、結束バンドやバネばかりを使った測定器を自作して、ガラス板を引っ張る力を調べたところも大変よい工夫です。水の量を変えて何度も実験したり、水の代わりに発砲スチロールつぶでモデル実験したりして、ガラス板をせっ着する力は水の量が少ない方が強いことを見つけました。さらに、ガラスを「ずらす」「こする」を繰り返しながら、ガラスにはさまれた水を抜く方法で最後には、14.9kgの重りをつり上げるのに成功しました。
 大変な思いをして実験装置を手作りして、実験中にガラスで手を切ったこともあったそうですが、予想を遥かに上回る水の力を引き出した成果は、素晴らしいと思います。

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