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小学校の部
受賞者インタビュー
文部科学大臣賞

知れば知るほどおもしろい
テントウムシたちの世界
2019~2020

土居 このはさん 大阪府河内長野市立川上小学校 6年生

図鑑に書かれていない現象に出会える
ワクワクが昆虫観察の楽しさ

「成虫になる前のテントウムシはどんな姿?」
好奇心が観察の原動力

「成虫になる前の
テントウムシはどんな姿?」
好奇心が観察の原動力

受賞された研究について、どんな内容のものか教えてください。
土居さん 小学校3年生から4年生にかけてつくった身の回りの虫についての図鑑と、5年生と6年生の夏休みの自由研究に制作したテントウムシの観察記録などをもとに、これまでの成果や考察をまとめたものです。分布調査や飼育観察のほか、越冬調査も行いました。
3年生からの取り組みの集大成なのですね。もともと昆虫が好きだったんですか?
土居さん 小さいころはどちらかと言えば昆虫が苦手な方でした。けれど、3年生の理科の授業で「モンシロチョウの一生」を学んでいるときに、偶然、庭のミカンの木にアゲハチョウが産卵する瞬間を見て感動したことがきっかけで、一気に興味がわき、アゲハチョウの飼育観察を始めました。

また、大の虫好きのママの影響もあったと思います。私が昆虫に興味を持つようになってから、ママと一緒にいろいろな昆虫のイベントや自然観察会に参加するようになりました。家ではいろいろな昆虫の飼育観察をしています。
今回の研究のテーマにテントウムシを選んだのはなぜですか?
土居さん 自然観察会で出会った大門聖先生(大阪大谷大学非常勤講師)が、「テントウムシはおもしろいよ」と教えてくれたことがきっかけです。ただ、テントウムシについて調べようと思うと、あまり詳しい資料がありませんでした。また、図鑑には成虫の写真はのっていますが、完全変態(幼虫からサナギを経て成虫に姿を変える)のテントウムシが、卵から変態していく過程の写真はほとんどのっていませんでした。

そこで採集したいろいろな種類のテントウムシの飼育観察を始めると、図鑑などにのっていない姿を見ることができたり、予想もしなかった現象を観察することができたりして、ますますテントウムシのおもしろさに夢中になりました。観察をすればするほど、さらに不思議に思うことや知りたいことが増えていきました。

さまざまな種類のテントウムシのため、
毎日エサの確保に奔走!

さまざまな種類の
テントウムシのため、
毎日エサの確保に奔走!

とてもたくさんのテントウムシを飼育されていたようですが、
どんな苦労がありましたか?
土居さん テントウムシは種類によってエサが違うので、飼育しているテントウムシそれぞれに合わせたエサをどうやって手に入れるかが大きな課題でした。例えば、アブラムシを食べるテントウムシのために毎日街路樹からアブラムシをとっていたのですが、街路樹が突然剪定されてしまい、アブラムシがいなくなったため、公園などに探しに行くこともありました。

テントウムシのエサになる植物や動物は日持ちがしないので、こまめに調達する必要がありました。いつどこにいけばエサがとれるかをいつも考えていました。何より、エサになる植物や動物も命があるものなので、無駄にしないように心がけていました。
逆に、飼育をしていてよかったことはどんなことですか?
土居さん 飼育観察をすることで、自然観察ではなかなか出会えない貴重な瞬間に立ち会えました。また、変化をじっくり観察する機会がありましたし、思いがけない現象を観察することもできました。

今回の研究では、テントウムシの異種間交配です。キイロテントウとシロホシテントウが交尾を始めたときは、そんなことがあるとは思わなかったので、本当にびっくりして、ママと2人で震えました。大門先生に報告し、自分でも調べてみたのですが前例がなかったため、慎重に観察を続けました。
今回の研究を通して、どんな部分で成長できましたか?
土居さん ひとつのことをあきらめずに最後まで取り組むことができるようになりました。コツコツ努力する姿勢は、大人になってからも役立つと思います。

大好きな昆虫の魅力を、
たくさんの人に伝えたい

今後はどんな研究に取り組みたいですか?
土居さん 昆虫の観察はまだまだ続けていきたいと思っています。そのうえで、例えば顕微鏡を使った観察など新しい手法を取り入れていきたいです。
将来の夢は何ですか?
土居さん これからも昆虫の研究をずっと続けて、昆虫博士になりたいと思っています。ずっと指導をしていただいた大門先生には、昆虫観察の楽しさをたくさん教えてもらいました。なので、私も、いろいろな人に昆虫のよさを伝えられるような研究者になりたいと思っています。 実は、昆虫に興味を持ち始めたころは、昆虫好きである自分は少数派で変わり者なのだと思っていました。でも、学校の自由研究で発表するなど積極的に昆虫のことを発信していくと、次第にクラスの友だちや周囲の人たちも昆虫に興味を持ってくれるようになりました。好きなもので周囲に認めてもらえることは、とてもうれしい経験でした。
ありがとうございました!
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中学校の部
受賞者インタビュー
文部科学大臣賞

あさがおの観察と研究8

青木 柚花さん 兵庫県姫路市立大白書中学校 2年生

8年間の継続研究で深めた、
自ら疑問を見つけ、解決方法を考える力

きっかけは小学1年生の授業。
継続したことで深まった知識や興味

きっかけは
小学1年生の授業。
継続したことで
深まった知識や興味

まずは、受賞した研究の内容について教えてください。
青木さん 小学1年生の授業であさがおを育てたことをきっかけに、これまで8年間、継続してあさがおの研究を行っています。

観察や実験を続けるなかで生じた疑問をもとに、いろんなテーマを設定しているのですが、ここ数年は主に2つのテーマについて調べています。1つは、花芽ができる時期、開花の時期と種のできやすさの関係性について。もう1つは、開花時に花びら内で起こっている現象についてです。
自分であさがおを育てながら、観察や研究を行っているんですね。
青木さん はい。毎年ベランダや庭であさがおを育てて、それを使って研究しています。夏の暑い時期でも毎日、世話や観察を行わなくてはならず、中学生になってからは日々の課題や部活と両立していくことがなかなか大変でした。

また、今年は新型コロナウイルスの影響で夏休みの期間が短くなってしまったため、あさがおのシーズンである夏に割く時間が少なくなってしまい、とても忙しかったのを覚えています。
8年間継続してあさがおの観察・研究を続けてきて、感じた変化はありますか?
青木さん 本や文献を使って調べるとき、小学校低学年くらいまでは、読んでも理解できない部分がたくさんありました。しかし、学年が上がるにつれて、理解できる範囲が少しずつ広がり、以前はよくわからなかったこと、疑問に感じていたことが、どんどんわかるようになっていきました。理解、知識の幅が広がったことで、ますますあさがおの研究を面白いと感じられるようになりました。

自分で立てた仮説を
証明できたときが一番うれしい

自分で立てた仮説を
証明できたときが
一番うれしい

研究をしていて、一番うれしいと感じるのはどんなときですか?
青木さん 自分で立てた仮説を証明するために、どんな実験や観察をすればいいかを考えて、実行し、狙った通りの結果が出たときが一番うれしいです。

研究をするときにいつも心がけているのは、丁寧な観察です。よく見て、気が付いたことがあればどんな小さなことでもメモをとったり、写真を残したりします。記録に残しておくことで、振り返ったときに新しい疑問が生まれたり、発見につながったりすることもあります。
今回の受賞を聞いたときは、どんな気持ちでしたか?
青木さん 小学6年生のときに継続研究奨励賞をいただき、そのときもびっくりしたのですが、今回はそれ以上に驚きました。まさか自分が、シゼコンのなかで一番いい賞をいただけるなんて思っていなくて。賞状が自宅に届いてようやく、「本当に受賞したんだ」と実感がわきました。
どなたが一番受賞を喜んでくれましたか?
青木さん 母です。母は、私が幼いころから、ホームセンターや100円ショップで手に入る身近なものを使った実験を教えてくれるなど、「科学」と「日常」が密接に関わっていることを感じられる環境づくりをしてくれています。あさがおの研究も、小学1年生から母が二人三脚でサポートをしてくれたおかげで、8年間続けることができました。

日々の実験や研究で、
“自分で考える力”を身に付けることができた

日々の実験や研究で、
“自分で考える力”を
身に付けることができた

今回の研究を通して、どんなことが身に付いたと思いますか?
青木さん インターネットで簡単に答え探しをせず、まずは自分で課題や疑問を見つけて、自分の力で解決方法を考えることです。何ごとも調べる前に「どうしてこうなんだろう?」と、考える癖をしっかりと身に付けることができたと思います。
青木さんのように、自分で考える力を付けるには、どのようにしたら良いでしょうか?
青木さん たくさん実験や観察をすることだと思います。家庭でできる簡単な実験が紹介されている本もあるので、難しく考えずに、まずは本に書かれている通りにやってみること。必要なものがそろっていて、すぐに実験や観察が始められる市販のキットもいろいろあるので、そういうものを使うと、さらに取り組みやすいと思います。
科学を身近に感じることが大切なんですね。将来はどんな道に進みたいと思っていますか?
青木さん まだ具体的な職業は決めていませんが、今までの研究で培ってきた考える力を生かせるような仕事に就けたらいいなと思っています。
ありがとうございました!
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小学校の部
受賞者インタビュー
オリンパス特別賞

くもラボ1〜5

青木 大和さん 和歌山県和歌山市立大新小学校 6年生

クモの研究で知った、
現場に足を運び、自分の目で確かめる大切さ

クモの特徴をわかりやすく撮影するために、
試行錯誤を重ねる

クモの特徴を
わかりやすく撮影するために、
試行錯誤を重ねる

今回受賞した「くもラボ1〜5」とは、どんな研究ですか?
青木さん 小学校1年生から4年生にかけて、おじいちゃんのいる岩手県や地元の和歌山県で行ったクモの観察・研究「くもラボ1〜4」と、和歌山県のクモ研究第一人者である東條清先生の著書『和歌山のクモ』をもとにして、僕が県内各地で行ってきた調査研究を整理した「くもラボ5」をまとめたものです。

毎年テーマを決めて、採集したクモを同定(種名を調べること)して標本をつくったり、生息環境などを調べたり、生態を観察したりしました。
長年の集大成なのですね! そもそもクモを研究しようと思ったのはなぜですか?
青木さん 1年生のときに、和歌山県立自然博物館で開催された「クモに学ぶ自然環境」という行事に参加したことがきっかけです。講師の岩本二郎先生が「クモは気持ちが悪いと思われがちだけど、たくさんの種類がいて、身近な場所に生息しているから観察しやすい」と話されるのを聞いて、やってみたいと思いました。観察の方法や標本のつくり方なども、教えてもらいました。
たくさんの種類がいるクモから、採集したクモを同定するのは難しそうですね……。
青木さん クモの場合は、眼や生殖器が同定のポイントになります。デジタルマイクロスコープを使って標本にしたクモの写真を撮影し、図鑑と見比べて確認しました。ただ、特徴がわかりやすい写真を撮影するのは難しく、最初は1匹のクモの写真を撮るのに1時間以上かかることもよくありました。いろいろな方法を試して、自分なりの撮影方法をあみだしました。
独自のクモの撮影方法! ぜひ具体的に教えてください。
青木さん 照明のあて方です。デジタルマイクロスコープについているLEDの光は弱めにして、代わりに懐中電灯を使いました。懐中電灯は自分で光をあてる向きなどを自由に調整できる点が適していました。クモの色によって、きれいに撮影できる光の色や強さも違ったので、いくつもの懐中電灯を使って、手術室みたいにして光をあてて撮影することもありました。
これまで100種以上のクモを観察・採集していますが、見つけたときにとくにうれしかったクモはいますか?
青木さん “トゲグモ”という体に大きなトゲが生えたクモです。1年生のときに博物館でトゲグモの標本を見せてもらってから、いつか自分でも見つけたいと思うようになりましたが、なかなか見つけることができませんでした。

3年生の夏に森林公園で別のクモの調査を行って、調査を終えて帰ろうとしたとき、ふと頭上を見るとクモの巣があり、なんとその中心にトゲグモがいたんです!

クモの研究で学んだ
「3つのワーク」と、自然と向き合う姿勢

クモの研究で学んだ
「3つのワーク」と、
自然と向き合う姿勢

研究を通して、どんなことを学びましたか?
青木さん まずは、現場に足を運ぶ「フットワーク」の大切さです。自分の目で観察することで、文献だけではわからないことをたくさん知ることができます。トゲグモを見つけたときのように、意外なクモと出会うこともあります。 次に、調査結果を机に広げて考察する、「ヘッドワーク」です。新型コロナウイルスによる外出自粛期間中は、出かけることが難しかったので、研究成果の考察に力を入れました。医療分野でクモの糸が注目されていることなど、クモについていろいろなことを調べました。

そして、最後に、わからないことを相談できる専門家の方との「ネットワーク」です。本当にたくさんの方に協力いただきました。
専門家の方からの印象に残っているアドバイスはありますか?
青木さん 最初にクモの同定をしようとしたとき、ちょっと調べただけで、すぐに専門家の先生に同定をお願いしてしまっていました。そのときに先生から「クモがかわいそうだ」と言われたんです。クモを標本にするということは、研究のためにクモの命を使わせてもらっているということです。だから、標本にするのであれば、同定まで責任を持って頑張る必要があると、先生の言葉から学びました。

クモの研究で得たものを、
新たな学びでも生かしたい

受賞したときはどんな気持ちでしたか?
青木さん オリンパス特別賞は、顕微鏡を使った研究を対象にした賞です。デジタルマイクロスコープを使った撮影には、自分なりの工夫を重ねたので、この賞がもらえてとてもうれしかったです!
お世話になった方に受賞の報告はしましたか?
青木さん はい。博物館の岩本先生に報告したときには、「クモの研究者は少ないので、6年間クモの研究を続けてくれたことがうれしい」と言っていただきました。

また、去年亡くなってしまったのですが、岩手県のおじいちゃんは、1年生のときから僕の調査に付き合ってくれました。おじいちゃんのおかげで見つけることのできたクモもいたりして、本当にお世話になりました。コロナの感染がおさまったら、お墓に報告に行きたいです。
今後、新たにチャレンジしたい研究などはありますか?
青木さん 中学校に入ったら、また新たな研究テーマに取り組みたいと思っています。撮影方法に試行錯誤した経験や、研究に必要な「3つのワーク」など、クモの研究で身につけたことは、どんな分野でも生かせると思います。
ありがとうございました!
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中学校の部
受賞者インタビュー
オリンパス特別賞

メダカの研究パート4
~性決定遺伝子の判定と産卵条件について〜

成田 百花さん 千葉県佐倉市立井野中学校 1年生

メダカの飼育を通して出会った、
“法則”を見つけることの面白さ

きっかけは祖母からもらった、
たくさんのメダカ

きっかけは
祖母からもらった、
たくさんのメダカ

成田さんは小学4年生のときから、メダカについて毎年異なるテーマで研究をしているんですね。
成田さん はい。祖母に30匹ほどのヒメダカをもらったのがきっかけです。育てながら観察をしているうちに、メダカの生態や習性について興味を持つようになりました。
今回は、どんなテーマで研究を進めたのですか?
成田さん 1つは「メダカの遺伝子」についてです。昨年は、ヒメダカとクロメダカという異なる品種同士で受精するとメンデルの法則のような結果になるのか、について研究をしました。今年はそれを発展させて、ヒメダカとクロメダカのオスとメス、さまざまなかけ合わせからうまれた子どもそれぞれに、ヒメダカとクロメダカをかけ合せると、どんな遺伝子を持ってうまれてくるかについて調べました。

また、もう1つのテーマは「メダカの産卵条件」についてです。「卵をうむ環境と卵がうまれる関係性について」と「卵をうむ環境と1日にうまれる卵の数の関係性について」の2つの調査を行いました。
研究はどのように進めていったのでしょうか?
成田さん 遺伝子の研究では、まず、これまでの研究結果をもとに、予想となる家系図を考えました。そして、ヒメダカとクロメダカのオスとメスを1匹ずつ、同じ水槽に入れてかけ合わせ、卵の模様や色を顕微鏡で観察し、ふ化後は目視や写真にて観察し、分析をしました。

産卵条件の研究は、水温、泳ぐスペース、ストレスを生みにくい環境の3つの条件で観察をして、どんな結果になるかを調べていきました。

現在70匹のメダカを、
自宅で育てながら研究を進めている

現在70匹のメダカを、
自宅で育てながら
研究を進めている

メダカは、自宅で育てながら観察を行ったのでしょうか?
成田さん そうです。自然に繁殖してしまわないように、1匹ずつ別々に小さな容器に入れて育てました。ふんをスポイトで取り除いたり、カルキ抜きした水を足したり、学校に行く前と帰宅した後、1日2回、メダカの世話をしています。今は自宅に70匹くらいのメダカがいて、リビングが“メダカ部屋”のようになっています(笑)。
すごいですね! 世話だけでも大変だと思いますが、研究を進めていくなかで、その他に大変だったことはありますか?
成田さん 最初は、メダカのかけ合わせに成功してたくさんメダカがうまれましたが、死んでしまうものも多く、設定した3パターンのうち2パターンは、法則を断定させるには厳しい匹数となってしまいました。数が少なくなってしまったかけ合わせは、次回以降の課題にしたいと思います。
生き物を飼育しながらの研究は、なかなか根気と手間がかかりそうですね。
成田さん はい。子メダカから産卵できる状態になるまでには時間がかかります。また、オスとメスを同じ容器に入れても、必ず子どもができるとは限りませんし、卵も1回に1個しかうまなかったり、10個くらいうまれるときもあったりするなど、予測不可能な状況の中、研究を進めていくのは大変でした。
研究をする際、新型コロナウイルスの影響で困ったことはありましたか?
成田さん 私の場合は、休校になった時間を利用して、観察したデータをまとめたり、学校があるときにはなかなか見られない日中の活発なメダカの様子を見たりすることができました。

研究・実験が大好き!
将来も研究の道に進みたい

「オリンパス特別賞」を受賞したと聞いて、どんな気持ちでしたか?
成田さん 受賞は母から聞いて知りました。最初はとても驚きましたが、時間が経つにつれて、徐々に自分の研究が評価してもらえたことを実感し、うれしく思うようになりました。両親もとても喜んでお祝いしてくれました。
今後もメダカの研究を続けていく予定ですか?
成田さん はい。今回の研究で新しい疑問が生まれたので、それをしっかり研究して、法則を導き出したいです。来年もまたシゼコンに応募したいと思っています。メダカを育てるのは大変ですが、自分で立てた仮説をもとに、実験して法則を見つけることはとても楽しいです。
成田さんは、研究や実験が大好きなのですね。
成田さん はい。身近なものでも、いろいろな視点から見ることで、さまざまな発見があります。身の回りにある不思議を見つけ、それを解明していくのはすごく面白いです。
将来はどのような道に進みたいですか?
成田さん このまま研究を続けて、研究職に就きたいです。自分の研究が、多くの人の役に立つといいなと思います。
ありがとうございました!
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第61回シゼコン表彰式 第61回シゼコン表彰式

審査総評

コロナ禍の影響を受けて応募作品の減少を危惧しましたが、グループでの研究が少なかったという印象です。でも「じっくりととりくむことができた」という作品もあり、審査員一同小中学生の「科学する心」、具体的には、探究心や課題に挑戦する姿勢に変わりがないことに感激しました。応募作品の対象は、自然観察によって普段なにげなくみている現象の「不思議」の追究から持続可能な社会づくりへの貢献をめざして実用性への視点を加味した作品まで広がりと多様性に富んでおりました。でも、その根底にあるのは「なぜ」という「問い」に対して多様な角度から挑戦的な実証実験の方法で、粘り強く検証していくプロセスに科学的根拠を探究する力を読みとることができました。観察や探究は閃きや偶然だけでは進められません。博物館や科学館の方々の専門的アドバイスも自分に引き寄せていく力とものごとを有機的に結び付けていく発想力も重要であることが受賞した作品は証明しています。今後とも、専門家や先人たちの粘り強い精神と挑戦力に学び、新たな地平を拓いてくれる作品が寄せられることを期待しています。

東京学芸大学名誉教授 工学博士 小澤 紀美子先生

文部科学大臣賞

小学校の部

知れば知るほどおもしろい
テントウムシたちの世界2019~2020

土居 このはさん 大阪府河内長野市立
川上小学校 6年

審査員コメント

土居さんは小学3年生の頃から昆虫、とくにテントウムシに興味を持ち、住んでいる大阪府河内長野市でみられるテントウムシを調査してこの研究をまとめました。研究の内容は、分布調査、越冬調査および飼育観察です。分布調査では市内のあちこちで32種のテントウムシを見つけました。その中にはアミダテントウのような珍しい種が含まれています。冬の調査ではナミテントウやキイロテントウなど7種の越冬状態が観察できました。分布調査で見つけたテントウムシのうち16種を飼育して生活史を詳しく観察しており、その記録が本研究の中心になっています。ナミテントウとシロジュウシホシテントウの斑紋多型を調べた実験が含まれているほか、メスのキイロテントウとオスのシロホシテントウの異種間交配という興味深い現象も観察できました。交尾の後キイロテントウが産んだ257個の卵からは57匹が成虫になりましたが、果たしてこれらが本当に両種の交雑個体かどうかはもっと厳密な実験で確かめる必要がありそうです。
この作品はいわゆる論文のスタイルにはなっていませんが、全編に土居さんのテントウムシに対する強い思いが溢れていて、とても楽しく読めました。

友国 雅章先生

中学校の部

あさがおの観察と研究8

青木 柚花さん 兵庫県姫路市立大白書中学校 2年

審査員コメント

本研究は8年にわたって研究対象として育成してきたアサガオの、特に開花・受粉と結実についての観察と実験をまとめたものです。この間、自身の観察事実に基づいて考察と新たな問いかけを繰り返してきたことは素晴らしいことです。観察結果が的確にまとめられていると感じます。この「研究8」では文献調査を行って、すでに明らかになっている知識と比較しながらこれまでの観察結果を見直しており、より生物学的な考察が行われています。しかしそのことにより、観察事実に対する自分らしい解釈・考察の余地が少なくなってきていることを本人も感じているのではないでしょうか。研究は追いつけ追い越せです。すでに明らかにされていることを学びながら研究を続けることにより、自分の得た結果がそれに追いついていくことを感じ、誰も気づかなかったことに気づくことを期待します。

邑田 仁先生

オリンパス特別賞

小学校の部

くもラボ1~5

青木 大和さん 和歌山県和歌山市立大新小学校 6年

審査員コメント

本研究は、小学1年生からの継続研究をまとめた集大成にふさわしい研究、「ラボ」になっています。ファイリングされた研究のページをめくっていくごとに、継続研究の成果というべき研究の深化が十分に伝わってきました。先行研究として東條清著『和歌山のクモ』を位置付け、自ら実地調査を行い、検証を通して研究を進めました。共通・多様性の視点をもとに観察し、観察の結果より考察するという解決へのプロセスも明確です。また、採集や分類整理の方法にも工夫が見られ、技能の高さも窺えます。クモの雌雄を分類する際には、デジタルマイクロスコープを活用して生殖器の形状を写真に記録しました。光源の工夫が写真に生かされ、はっきりと識別できる記録になっています。観察の技能の高さに感心しました。研究は集大成にふさわしい内容を示していますが、青木さんは次の問題も見いだしています。クモの多様性をはじめ、生態系や環境との関係についても新たな問いが生まれました。本賞受賞を糧にして、さらなる『くもラボ』の深化を期待しています。

森内 昌也先生

中学校の部

メダカの研究 パート4
~性決定遺伝子の判定と産卵条件について~

成田 百花さん 千葉県佐倉市立井野中学校 1年

審査員コメント

本研究は小学校3年生から4年間継続して行っている研究です。メダカについて疑問に思ったことをさまざまな観察や調査を行い解決してきました。今年度は、昨年メンデルの遺伝の法則の検証を行ったことについて、メダカの品種を増やしその法則について遺伝子の研究を通して検証しています。
結果を予想し、観察から得られた結果をもとに考察しています。産卵に至るまでのメダカの様子、産卵した数と卵の変化の様子、孵化した後のメダカの様子など、長い期間継続して毎日観察し記録を取り続けました。ていねいに継続して観察したことで、気が付いたことや得られたデータなどとても多く、上手にまとめてあり努力のあとがうかがえます。
生物教材を扱う場合には水温の変化や水質、光の量、行動スペースなど育成する環境についても工夫する必要があります。また、生物同士の相性などさまざまな条件も関係してきます。今後はより多くの数のメダカをサンプルとして扱い、研究をさらに継続・発展させていくことに期待します。

田中 史人先生

応募総数

第61回応募校数・作品数
小学校の部 中学校の部 合計
応募校数 0 0 0
応募作品数 1600 1500 3500

応募総数

第61回応募校数・作品数
応募校数 応募作品数




0 1600




0 1500

0 3500

REPORT

REPORT

コンクールに関する報告
  • 応募作品の一部です。今年はこのような状況下の中でしたが、たくさんの応募がありました!
    2021年01月16日 更新
  • 2020年12月17日に、61回自然科学観察コンクールの最終審査会が行われました。会議室内は感染症対策を徹底して、研究のプロセス・まとめ方・着眼点など様々な視点で議論されました。
    2021年01月16日 更新
  • 応募作品の一部です。今年はこのような状況下の中でしたが、たくさんの応募がありました!
    2021年01月16日 更新
  • 2020年12月17日に、61回自然科学観察コンクールの最終審査会が行われました。会議室内は感染症対策を徹底して、研究のプロセス・まとめ方・着眼点など様々な視点で議論されました。
    2021年01月16日 更新

シゼコンアーカイブ

シゼコンアーカイブ

各年度のコンクールまとめや入賞作品
  • 第64回 自然科学観察コンクール
  • 第63回 自然科学観察コンクール
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