市内5中学が合同で自由研究展を開催
館林市には、第四中学を含めて5つの中学校がある。この5中学が毎年、各校20点ずつ夏休みの自由研究を『向井千秋記念子ども科学館』に展示している。会期は10月のほぼ1カ月間で、保護者にも招待券を出して、広く市民に見ていただけるよう配慮している。展示作品はすべて、展示が終わると自然科学観察コンクールに応募する。
群馬県では、県庁所在地の前橋市を中心に自由研究への取り組みが盛んで、以前から夏休みの自由研究相談会や自由研究の発表展示会が行われている。しかし、館林は前橋とかなり離れていて前橋まで気軽に行ける環境にないため、地場で自分たちでやろうという気運がある。
館林市では、市内5中学の理科教員で構成される「中学校理科部会」を組織化しており、定期的な会合を年4回開いている。会の取りまとめをする教員の部長は四中の江尻先生。科学館で開催する自由研究展もこの会が主催している。
市内の小学校に自由研究展への参加を呼びかける
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教師の間に芽生えたチームワーク
小中合同相談会には市内の各校から大勢の教員が集まった。そのため、相談に来た1人の子ども、あるいは1組の親子に、教員が2人だったり、多いときには3人で対応することもあった。教員がお互いにカバーし合いながら相談に応じることは、子どもにとってよかったことはもちろん、教員自身にとってもいい勉強の機会になったようだ。 教員が組み立てて行う授業に対して、自由研究は子どもの発想から動き始める。200 人の生徒がいれば200 とおりの考えがあるわけで、1人の教員が1人1人に対応していくことには非常に厳しいものがある。そこをカバーするために、教員側もチームであたるのがベターではないか。まずは、各学校内の理科の教員のチームであり、市内中学校の教員のチームになり、さらに小学校の教員も入ってくる、というのが理想ではないか。複数の目で複数の指導ができれば、それはとても有効なことだ。 自由研究展を機に年3回の小学校、中学校合同部会を開くことが決まっている。 |
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文章を書くことと表現することを重視
江尻先生は、授業の中で「書く」ことと「表現する」ことが大事だといつも言っている。どんな小さなことでも、気がついたことは何でもノートに書かせている。そして、文章になったものを必ず見て、直したりマルをつけたりして指導している。
江尻先生は、文章をきちんと書けないと思考力が高まらない、と考えている。
表現することは、データを表にしたりグラフにしてノートにまとめること。それを皆の前で、どうしてそうなったのかを発表させる。自分で考えたことを外に向かって発表してはじめて自分に返ってくる。どこが伝わらなかったのか、どこがわかってくれなかったのか、がわかってくると、次にどうしようかということが見えてくる。表現することは自由研究につながる、と考えている。
テーマをどう追求していくか、そこが教師の指導の役割
生徒が自分でテーマを決めたものはそのままやらせている。 しかし、自由研究のテーマが当初の目的からずれていく傾向があるので、狙いを絞り込むことをたえず子どもに投げかけていかないと、まとめの段階になって、何がわかったのかまとまらなくなってしまうことになる。 また、テーマが現実的でないこともあるので、現実性という観点からも見ていく必要がある。その辺が教師の役割と考えている。 今年の自由研究の作品で目立ったことは、総合学習でやってきたものを発展させる子がいたこと。総合学習で環境についての水質調べをいろいろやってきたので、自由研究もその延長でやってみようという子が数人いた。授業を発展させて自分なりにやってみようという子もいた。 |
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江尻智之先生(37歳)
理科担当(3年生担任)
専門は生物
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