第56回入賞作品 小学校の部
3等賞

水じょう気 パートⅢ
水じょう気VSドライヤー

3等賞

茨城県牛久市立岡田小学校5年
内田匡俊
  • 茨城県牛久市立岡田小学校5年
    内田匡俊
  • 第56回入賞作品
    小学校の部
    3等賞

    3等賞

研究の動機

 ドライヤーの風と同じように、水蒸気の力で発泡スチロールの球(直径4.5㎝、重さ1.5g)を浮かばせたい。

実験の目的

実験A:水蒸気では、どのような条件の時に球を高く安定して浮かばせることができるのか。
実験B:水蒸気での球の浮かび方に、ドライヤーの風との違いはあるのか。

実験の器具・方法

◇ドライヤー:一般家庭用のもの。送風口の直径4.8㎝、「cool」表示で使用する。

◇三角フラスコ(2L):口の直径4.5㎝。中に24℃300ccの水を入れて加熱し、水蒸気を発生させる。加熱して10分後に水がどれだけ減ったかも記録する。

◇ペンキ缶:直径15.5㎝、高さ14.5㎝の円柱形の鉄製空き缶。ふた(直径12.5㎝)の中心に直径0.35㎝の穴を開けた。フラスコと同様に水蒸気を発生させ、水の減った量も記録する。

◇家庭用コンロ:フラスコ、ペンキ缶の加熱のために使用。「火力小」は24℃300ccの水が6分13秒で沸騰する火力とし、「中」は4分7秒、「大」は3分2秒で沸騰する火力とした。

◇水蒸気の温度について:フラスコ、ペンキ缶の水蒸気の噴射口からの高さ0、5、10、15㎝の位置で測る。

〈のぼりの実験〉

 2本のポールを平面から45度の角度で設置し、間にのぼり(ビニールシート)を張る。のぼりの上端はポールに固定し、すそにはリングを付けてポールに通し、自由に動くようにする。のぼりの真下でフラスコからの水蒸気、ドライヤーの風を当て、それにあおられて、のぼりのすそがどれだけポールに上がったかを記録する。

〈風車の実験〉

 風車(直径約4.5㎝)は耐熱性のある素材で作り、6枚羽根の角度をそろえた。回転軸に長い糸をつけて伸ばし、回転軸に巻き付いた数から5秒間の回転数を求めた。風車はフラスコとペンキ缶の水蒸気の噴射口、ドライヤーの送風口からそれぞれ約4㎝真上に置いて調べる。

〈球を浮かばせる実験〉

 発泡スチロールの球(中空)を、フラスコとペンキ缶の水蒸気の噴射口、ドライヤーの送風口の真上に浮かばせ、その高さを記録する。

【実験A】球を高く安定して浮かばせる条件

【実験A‐1】火力による違いを調べる。

 火力小・中・大で「のぼりの実験」「風車の実験」「球を浮かばせる実験」を行った。

《結果》

火力 ドライヤー
のぼりの高さ 5.7㎝ 31.5㎝ 54.2㎝ 80.5㎝
風車の5 秒間の回転数 0 回 0 回 0 回 127 回
球が浮いた高さ 0㎝ 0㎝ 0㎝ 11㎝
高さごとの温度 0㎝ 98℃ 99℃ 100℃
5㎝ 76℃ 82℃ 94℃
10㎝ 51℃ 69℃ 91℃
15㎝ 41℃ 64℃ 87℃
減った水の量 45cc 105cc 145cc

《考察》

 火力が大きくなるにつれて、水蒸気の力が強くなった。水の減った量から、水蒸気の量も増えたが、風車は回転せず、球も浮かばなかった。もっと水蒸気の威力が必要だ。

【実験A‐2】水蒸気の噴射口を小さくして、より大きな力を出す。

 フラスコの口にアルミホイルを張って直径3.0、2.0、1.0、0.3㎝の穴を開け、「のぼりの実験」「風車の実験」「球を浮かばせる実験」を行った。火力は大。

《結果》

口の大きさ 4.5㎝(元の大きさ) 3.0㎝ 2.0㎝ 1.0㎝ 0.3㎝
のぼりの高さ 54.2㎝ 63.3㎝ 66㎝ 68.8㎝ 73.1㎝
風車の5 秒間の回転数 0 回 0 回 0 回 10 回 78 回
球が浮いた高さ 0㎝ 0㎝ 0㎝ 0㎝ 0㎝
高さごとの温度 0㎝ 101℃ 110℃ 114℃ 119℃ 122℃
5㎝ 94℃ 104℃ 108℃ 110℃ 115℃
10㎝ 91℃ 100℃ 105℃ 108℃ 110℃
15㎝ 87℃ 94℃ 98℃ 101℃ 103℃
減った水の量 145cc 135cc 125cc 113cc 107cc

《考察》

 噴射口を小さくするほど、のぼりは高く上がり、水蒸気の温度も100℃以上に上がった。直径0.3㎝の時は風車が78回も回り、高さごとの水蒸気の温度も最高値を示したが、水の量の減り方は小さくなった。水蒸気の出る勢いが増したと考えられる。球を浮かせるためにもっと水蒸気の量や勢いを大きくする必要があるが、ガラスのフラスコでは危険だ。

【実験A‐3】鉄製のペンキ缶(噴射口の直径0.35㎝)を使い「のぼりの実験」「風車の実験」「球を浮かばせる実験」を行う。火力は大。結果をフラスコ(噴射口の直径0.3㎝)の場合とドライヤーの場合とで比べる。

《結果》

口の大きさ フラスコ(0.3㎝) 缶(0.35㎝) ドライヤー
のぼりの高さ 73.1㎝ 80.3㎝ 80.5㎝
風車の5 秒間の回転数 78 回 138 回 127 回
球が浮いた高さ 0㎝ 10.5㎝ 11㎝
高さごとの温度 0㎝ 122℃ 132℃
5㎝ 115℃ 122℃
10㎝ 110℃ 114℃
15㎝ 103℃ 107℃
減った水の量 107cc( 直径4.5
㎝では145cc)
168cc( フタなし
では180cc)

《考察》

 ペンキ缶の水蒸気で発泡スチロールの球が浮いた。その時のペンキ缶内の空間は約2370㏄、ここに体積が1万3608㏄以上の水蒸気が押し詰められていると推測できる(昨年の実験で、水蒸気の体積は水の1134倍以上ある)。高圧状態の水蒸気がわずか直径0.35㎝の穴から飛び出すので、かなり勢いがついている。
 水蒸気が発泡スチロールの球を浮かばせる条件は火力が大きいこと。噴き出し口が小さいこと。水蒸気が空間にとどまり、高温高圧状態になってから外に出ること――だ。
 家庭用コンロでこれだけできるのだから、もっと巨大な火力で、もっと頑丈な容器に水蒸気をためて加熱し、管で送り出すことができたら、もっと大きな力を出せると思う。

【実験B】水蒸気とドライヤーの風による、球の浮かび方の違い

【実験B‐1】大きさ、重さの違う発泡スチロールの球を浮かばせる。

 球は8種類(直径2.5㎝・重さ0.2g、3.0㎝・0.5g、3.5㎝・0.7g、4.0㎝・1.1g、4.5㎝・1.5g、5.0㎝・1.9g、6.0㎝・2.3g、7.0㎝・4.0g)。水蒸気はペンキ缶で発生させた。火力は大。

《結果と考察》

 水蒸気もドライヤーも、球が小さく軽いほど高く上がった。しかし、水蒸気では2.5㎝・重さ0.2gの球、ドライヤーは3.0㎝・0.5g以下の球では小さすぎ(軽すぎ)て、球が勢いに飛ばされた。一番の高さは水蒸気では3.0㎝・0.5gの球の19.5㎝、ドライヤーは3.5㎝・0.7gの球の23.5㎝だった。ともに大きく重い球ほど上がり方は低くなった。ドライヤーでは7.0㎝・4.0gまでの球を浮かせたが、水蒸気は6.0㎝・2.3gまでだった。

【実験B‐2】重さが一定(1.5g)で、大きさ(直径)の異なる8種類(直径2.5~7.0㎝)の球を浮かばせる。

 球が1.5gよりも重い場合は、半分に切って内部を削り、軽い球は釘(0.1g)を刺して重さを調整した。

《結果》

球の直径 2.5㎝ 3.0㎝ 3.5㎝ 4.0㎝ 4.5㎝ 5.0㎝ 6.0㎝ 7.0㎝
水蒸気 3.5㎝ 5.5㎝ 7.5㎝
(少し不安定)
10㎝
(安定している)
10.5㎝
(とても安定)
11㎝
(安定している)
16㎝ 16.5㎝
ドライヤー 0㎝
(端に寄り上がらない)
0㎝
(送風口で動くだけ)
1㎝
(すぐ落ちた)
2㎝
(上下にはねた)
11㎝
(とても安定)
12㎝
(安定している)
18㎝ 19㎝

《考察》

 水蒸気とドライヤーはともに大きい球ほど高く、安定して上がった。しかし水蒸気はすべての球を浮かばせたが、ドライヤーは直径4.0㎝以下の球を浮かばせることはできなかった。これは送風口(直径4.8㎝)よりも小さな球だ。逆に送風口と直径がほぼ同じの球(直径4.5㎝)以上の大きな球は、水蒸気よりも高く浮かばせることができた。送風口(噴射口)よりも大きな球を上げる方が、当たる風(水蒸気)の面積が大きいので、効率的に力を伝えられるのだと思う。

【実験B‐3】水蒸気、ドライヤーの風に浮いている球に円筒をかぶせ、変化を調べる。

 浮かべる球は直径4.5㎝・重さ1.5g。円筒は長さ11㎝、直径が6㎝と7.5㎝の2種類を用意し、それぞれ送風口(噴射口)から少し離し、すき間をあけてかぶせる方法、送風口(噴射口)にピッタリかぶせる方法の二通りで試した。

《結果と考察》

 送風口(噴射口)にすき間をあけて筒をかぶせると、水蒸気、ドライヤーともに、球は筒の中を通って上にポンと飛び出して浮いた。筒をピッタリかぶせると、水蒸気では球が噴射口に引き込まれるように下に落ちて、二度と浮かんでこなかった。ドライヤーではそうした現象は見られず、やはり筒を勢いよく飛び出し、筒の上で浮いた。送風口と噴射口の大きさの違いが、周囲の気流の違いとなって影響しているのではないか。来年への課題だ。

感想

 水蒸気は加熱や圧力のかけ方などで、とても大きな力を引き出せるエネルギーだ。今回の実験ではまた違う発見があり、いろいろなことを考えさせられた。

指導について

指導について内田 仁

 水蒸気についての研究も今年で3年目となりますが、彼の自由な発想には毎回感心させられます。今回の研究のテーマ「ドライヤーの風で球を浮かばせられたように、水蒸気でもできるか?」からも、彼特有の発想のおもしろさが感じられました。また、実験の方法も独自に考え出し、実験道具も自分で作るなど工夫しながら粘り強く進めていきました。ペンキの缶を使った実験で球が見事に浮いたときには、とても喜んでいました。難しい機械を使ったりせず、今の自分の知識の中での実験は、時には効率の悪さも感じられるのですが、これからもやり続けてほしいと思います。
 今回の実験は量も多かったため、結果をまとめるのが大変だったようです。でも、担任の先生の励ましなどにより最後まで成しとげることができ、それが彼の自信にもなったようです。一つの研究を成しとげるのは大変なことですが、得るものも大きいと思いました。来年もぜひ挑戦してほしいと思います。

審査評

審査評[審査員] 関根 正弘

 水蒸気の不思議解明に魅せられて3年目の研究となりました。水蒸気の限りない力をうまくコントロールして空気と同じように活用できないだろうかという問題を今年も追究しました。ドライヤーの風力で玉が浮かんで空中で安定する現象を見て、水蒸気が噴き出す力でも絶対にできるはずだと根気強く検証を続けました。予備実験としてドライヤーの風力を測定するために、結果が数値化できるように実験器具を工夫して自作したことにも感心しました。ドライヤーの風力まで水蒸気の力を近付ければ球が浮くだろうとの仮説から、火力と噴射口の大きさを変えて調べて、見事に浮かすことに成功しました。結果の見通しをもって、条件を正確に整えた実験をしているので、流れるような研究になっていました。玉の条件を変えた実験の結果からも自分なりの考察としてまとめることができました。筒を被せた実験では予想外の結果となり、新たな問題を見いだしたことでさらに意欲を燃やす姿勢も素晴らしいと思いました。

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