第56回入賞作品 小学校の部
継続研究奨励賞

海岸の化石調べ パート3
~深い化石・浅い化石~

継続研究奨励賞

沖縄県那覇市立天久小学校4年
岩瀬暖花
  • 沖縄県那覇市立天久小学校4年
    岩瀬暖花
  • 第56回入賞作品
    小学校の部
    継続研究奨励賞

    継続研究奨励賞

研究のきっかけ

 父に「化石が見つかるかも」と言われ、家族で県内の海岸に行きました。2年生の時に化石を47個拾いました。ほとんどがサメの歯だったので、サメの種類の違いや食事方法の研究をまとめました。3年生の時は化石を323個拾いました。今も生存する生物と比べて、体の大きさなどを想像してまとめました。今年も化石を採集しました。


 調査した海岸:化石は、歩いているだけで、石に紛れて見つかります。半分ほど砂に埋まっていることもあります。近くの地層は120万~250万年前のものといわれますが、化石が地層から見つかるわけではないので、化石の年代などは詳しくは分かっていません。

化石の同定(見分け方)

 サメの歯には特徴があります。例えば、イタチザメの歯には大きな切れ込みと歯頸帯(しけいたい:歯と根の間にある帯のような部分)が発達しています。2年生の時に歯の特徴などをまとめた表を作りました。今では表を見ずとも分かりますが、それでも分からないものは博物館や水族館の標本と比べたり、専門の先生に聞いたりして調べました。

今年集めた化石(個数)

 メガロドン(7)、ホホジロザメ(44)、アオザメ(2)、イタチザメ(14)、カマヒレザメ(10)、カグラザメ(2)、ミツクリザメ(1)、ミズワニ(1)、ネコザメ(10)、メジロザメの仲間(88)、サメ(不明)の歯(15)、サメの背骨(7)、ノコギリエイ(3)、クジラの耳骨(1)、イルカの耳骨(6)、イルカの歯(2)、イノシシの歯(2)、ハリセンボンの仲間(39)、タイの仲間(4)、タチウオの仲間(3)、硬骨魚の咽(いん)頭歯(5)、硬骨魚の背骨(5)、貝の仲間(5)、カニ(2)、オニフジツボ(2)、カメフジツボ(1)、深海サンゴ(8)、不明(23)。

今年の発見

《ミツクリザメの歯》

 細くて長い。歯の横にギザギザがなく、条線(じょうせん:しわのような線)が歯の根元の方にたくさん付いています。歯根の真ん中に厚みがあり、ミズワニザメの歯にとても似ています。ミツクリザメは海の表層から水深1200mまでにすむ深海ザメです。エサを食べる時に口が飛び出すことで有名です。

《カグラザメの歯》

 他のサメと違って、いくつも横に並んだ形をしていて、まるでノコギリのようです。歯根は他のサメより厚みがなく、端もつぶれたように平たくなっています。真ん中の歯だけは、歯根にも歯にも厚みがあり、他の歯と違う形をしています。メガマウスの歯と間違われることもあります。カグラザメは水深300mあたりにすむ深海ザメです。背びれは1つ(他のサメは2つ)、えらの穴は片側に6、7個(他のサメは5個)です。
 新しく見つけたサメが深海ザメだったので、県立博物館に話を聞きに行きました。「深海には食べ物が少ないので、何日もご飯が食べられないことがある。だから深海の生き物はエネルギーを使わないようにゆっくり泳ぎ、ゆっくり成長する種類も多い」という。

《仮説》深海ザメはエネルギーを使わず、ゆっくり成長するから、歯が生えかわるペースが遅く、歯が欠けてしまわないように、他のサメに比べて歯が丈夫にできているのかもしれない。

実験:化石のかたさ(密度)調べ

《方法》

 密度は「どれぐらい中身が詰まっているか」を表します。「重さ÷体積」です。

〈化石の重さ〉

 家のキッチンスケールでは、化石が軽すぎて0gになってしまいます。そこで琉球大学で電子天びん(0.001gまで量れる)を使わせていただき、化石の重さを量りました。

〈化石の体積〉

 ビーカーの水の中に化石を入れた時に、増えた水かさ分(化石の体積)が「浮く力」となって軽くなります。そこで、ビーカーの水中に入れた時の化石の重さを電子天びんの下につるす方法で量り、軽くなった分を化石の体積としました。本当は「浮く力」から体積を求めるのには水の温度=比重=が大事なのですが、今回は同じ実験で計算した化石の密度を比べるだけなので、気にしませんでした。

《結果》

 化石の計量は、不明な化石以外すべてについて行いました。密度の計算は時間がかかるので、パソコンのソフト「エクセル」を使って行い、密度順や種類別などに化石を並び替えてみました。

◇密度(高低順):密度の低い方に背骨の化石が多い気がします。ホホジロザメは密度が低いというわけでも、メガロドンは密度が高いというわけでもありません。

◇密度(種類別):同じ種類でも、色や欠け方(歯根が残っているとか)、けずれ方、上・下いずれの歯かなどに注目しました。ハリセンボンはあごの骨が残っているが密度は低く、イタチザメは歯根が残っている方の密度が高いように思えます。メジロザメの仲間も、歯根が残っている下の歯の密度が高いように見えます。

◇密度(種類ごとの分布):これもエクセルでグラフを描きました。化石の生物がすんでいた場所(陸、浅い海、中間の深さの海、深海)と密度は関係がなさそうです。サメと硬骨魚は背骨の密度が低そう。メガロドンの密度は他のサメと同じくらいで、予想よりも低い。ホホジロザメも他のサメと同じくらいの密度で、予想よりも高い。深海ザメは、どちらかというと他のサメよりも低いように見えます。

種類別 密度ランキング(高い順)

順位 化石 密度
イルカの歯 2.85
イルカの耳骨 2.83
ミズワニ 2.79
ホホジロザメ 2.78
ハリセンボン 2.78
タチウオ 2.78
咽頭歯 2.78
ノコギリエイ 2.76
メガロドン 2.74
クジラ耳骨 2.74
メジロザメ 2.735
ネコザメ 2.71
イタチザメ 2.70
カグラザメ 2.695
タイ 2.685
ミツクリザメ 2.67
アオザメ 2.63
硬骨魚背骨 2.56
カマヒレザメ 2.55
イノシシ 2.41
サメの背骨 2.40
クジラの骨? 2.36

まとめ

 深海ザメ(ミツクリザメ、カグラザメ)の歯の化石の密度は、他のサメよりも低い方だという結果でした。食べ物のない深海でも、やはり歯はある程度のペースで生えかわっているのかもしれません。省エネルギーだからこそ歯の密度が低く、少ない材料でできているのかもしれません。
 中身が詰まっているように見えたメガロドンの密度はそんなに高くなく、中身がスカスカに見えるホホジロザメは高い方でした。メガロドンは他のサメと変わらないペースで歯が生えかわっていたのかもしれません。ホホジロザメの歯もどちらかというと丈夫にできており、それが化石が多く見つかる理由の一つだと思えます。
 イノシシの密度が低いことにもびっくりしました。歯とキバの化石1個ずつを量ったのですが、キバの中身が空洞で、その中に泥が詰まっていたので数値が違ったのかもしれません。ミズワニも化石が1個だけだったので、計測に間違いがあった可能性もあります。

感想

 1週間に1回ぐらいのペースで生えかわるサメの歯と硬骨魚の歯の密度があまり変わりませんでした。強くて丈夫で、すぐに生えかわる歯をもったサメがとてもうらやましい。私もそうだったらキャラメルは食べ放題だし、歯みがきをしなくてもいい。将来はサメの歯を研究し、人間の歯も生えかわるようにできたらいいな。

指導について

指導について岩瀬 絵里

 暑い日は日陰のない場所でジリジリと沖縄の太陽に照らされながら、寒い日には北風に吹きつけられながら、ひたすら地を見つめ、化石を拾う。飽きっぽい性格であれば一日と続かないこの作業を、よく続けていると思います。3年前、たまたま浜遊びの一環でやってみた化石探し。暖花はこの日一つも見つけられず、悔しくて泣きながら暗くなるまで探し、このことが以後何度も通うきっかけとなりました。必ず興味を持つであろうとか、持たせようと思っていたわけでなく、きっかけはいくつも与えていたうちの一つであり、偶然のものでした。自由研究にしたいと言い出した時には、私の化石同定の知識の無さもあり反対しました。あれから3年。採集から始まり、標本整理に化石の同定。きっと、本人にとっては趣味の範囲であったから続いているのではないでしょうか。これからも『遊び』の気持ちを大切に、自然と触れ合う機会をたくさんもってほしいと思っています。

審査評

審査評[審査員] 邑田 仁

 身近に宝物があることに気づく人は幸せだと思います。その宝物を調べることによってさらに宝物の価値があがります。「海岸の化石調べ」は、歩くだけで化石が見つかるという恵まれた環境を生かし、継続して研究することにより、課題を発展させてきました。今年の研究では、昨年までの調査で見つかっていない新しい種類の化石を見つけたばかりでなく、調査地の化石で多く見つかるサメの歯の密度を測定して、深海のサメはゆっくり成長するので歯の密度が高いのではないかという仮説を検証しました。結果は仮説どおりになりませんでしたが、何かほかの理由があるのでしょうか? 来年が楽しみです。集めた資料を標本として保存しておくことは、自分だけでなく、ほかの人の研究にも役立ちます。資料を交換したり、分かったことを教え合ったりして、世界を広げられるといいですね。

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