第51回入賞作品 小学校の部
3等賞

くさる
~いたみにくいお弁当を作ろう~

3等賞

岐阜県池田町立八幡小学校6年
 竹中 万智
  • 岐阜県池田町立八幡小学校6年
     竹中 万智
  • 第51回入賞作品
    小学校の部
    3等賞

    3等賞

研究の動機

 食べ物にはいたみやすいもの、いたみにくいものがある。おにぎりに梅干しを入れるのも、いたみにくくする工夫だ。食べ物はくさるとどう変化するのか。いたみにくいお弁当を作るために調べることにした。

【おかず編】

《実験1》

食べ物が「いたむ」とは、どういうことか。

〈方法〉

食品12品目18種類(豚肉〈生・ゆで〉、鶏肉〈生・ゆで〉、ウインナーソーセージ〈生・ゆで〉、かまぼこ、チーズ、ご飯、パン、パスタ〈そのまま・ゆで〉、ジャガイモ〈生・ゆで〉、ニンジン〈生・ゆで〉、梅干し、大根の漬物)を製氷器トレイの仕切りに入れたものを3個用意し、冷蔵庫(温度10℃)、ふ卵器(60℃)、屋外の小屋(室温、日中は30℃前後)に置き、変化を観察した。観察期間7月22日夕方~25日夕方

〈結果〉

12時間後:小屋の豚肉(生)、鶏肉(生)がにおう。チーズがとけた。ふ卵器の豚肉(生)、ウインナー(生・ゆで)が乾燥した。チーズがとけた。
24時間後:小屋の豚肉(生)、鶏肉(生)がすごくくさい。ジャガイモ(ゆで)、ニンジン(ゆで)に白いカビがはえた。ふ卵器の野菜類(生)が小さくなった。ジャガイモ(生)は黒く変色した。
36時間後:小屋の肉(生)すごくくさい。野菜類(ゆで)の白いカビが広がった。野菜類(生)にカビはみられない。
48時間後:小屋の肉(生)に小バエがたかる。とてもくさい。ウインナー(生)が少しにおう。かまぼこに黒いカビがはえた。冷蔵庫はあまり変化していない。
60時間後:小屋の肉(生・ゆで)にウジが発生。ウインナー(生・ゆで)にねばりが出た。かまぼこの黒カビが広がった。小屋ではあまりににおいがひどく、実験は中止した。

〈分かったこと〉

食品は室温が一番いたみやすい。食品は室温が一番いたみやすい。いたみ方には「変質する(色やにおいが変わる)」「カビがはえる」「虫がわく」の3つがある。野菜は生、肉類は熱を通したものがいたみにくい。加工食品、漬物類、初めから乾燥しているパスタはいたみにくい。

《実験2》

塩分が多いと、食べ物はくさらないのか。

〈方法〉

鶏肉(ササミ)を食塩水(10%、20%、30%)、酢にひたしたもの、食塩、砂糖、コショウをまぶしたものを5℃で12時間保存してからトレイ(ふた付き)に入れ、ふ卵器(60℃)、小屋(室温)での3日間の変化を調べた。

〈分かったこと〉

30%食塩水、酢、食塩では、生に比べてくさりにくい。食塩水は塩分が濃いほどくさりにくい。砂糖、コショウもくさりにくいが、食塩ほどではない。酢では最後まで色やにおいは変わりなかった。ふ卵器では乾燥しないように一緒に水を入れておいたが、48時間後には縮んで干からびてしまった。しかし最後までにおいの変化が少なかった。

《実験3》

乾いた食べ物はくさりにくいか。

〈方法〉

半日ほど天日干ししたササミ肉を、冷蔵庫(5℃)でさらに半日乾燥させた。これをふた付きトレイに入れて変化を調べた。

〈結果〉

10日後でも、においや色に変化がなかった。

《実験4》

食べ物はくさると、どのように変化するか。

〈方法〉

くさったものは、食べた時に酸っぱい。生の鶏肉(ササミ)をトレイに入れて、水にひたす。これを小屋に置いて、水のpHの変化を測定器で調べる。

〈結果〉

最初のpHは6.8、12時間後には5.9(酸性)に下がった。少し肉のいたんだにおいがした。水の色も濁ってきた。24時間後にpH6.7に戻り、完全に肉のいたんだ嫌なにおいがする。36時間後にpH7.6(アルカリ性)になり、小屋の中がくさい。水は白く濁ってきた。48時間後、pH7.6、ササミはドロドロに溶けてきた。60時間後、pHは7.7とほとんど変わらない。ササミは茶色に変色し、ピンセットでもつかみにくい。

〈分かったこと〉

生肉が「腐敗」すると、においや色だけでなく、pHも変化する。pHは一度酸性になり、アルカリ性に変化する頃が腐敗した時だ。

《実験5》

加工食品はなぜくさりにくいのか。保存料として酸化防止剤(ビタミンC)が使用されている。ビタミンCは酸っぱいので、酢と同じようにくさるのを遅らせるのでは。

〈方法〉

ササミ肉のミンチに、肉の重さの10%分のビタミンCを加えて混ぜる。同様にビタミンC1%、食塩1%・10%の肉も用意し、変化を調べる。

〈分かったこと〉

ビタミンC10%と食塩10%が、いたみにくい。食塩より、ビタミンCを混ぜた方がいたみにくい。ビタミンCの量が多いと、肉が白っぽく変色し、かたくなる。

《実験6》

発こう食品は本当にくさりにくいのか。

〈方法〉

発こう食品として納豆、赤みそ、合わせみそ、ヨーグルト、キムチ、さらに発こう前の原料として、ゆでた大豆、牛乳をトレイに入れ、小屋での6時間ごと(60時間後まで)の変化をみる。

〈結果〉

発こう食品はいたみにくい。 時間とともに、納豆は粘りが減り、最後は溶けたようになった。大豆は納豆のように糸を引き始めた。ヨーグルトは水分が分離し、36時間後からカビがはえて広がった。牛乳は水分が分離し、ヨーグルトのようなくさいにおいがした。キムチとみそに変化はなかった。ヨーグルトのpHは4.2からほとんど変化せず、牛乳はpH6.8からpH4.6に大きく変化した。発こう食品はいたみにくい。

《実験7-1》

発こう食品の正体をさぐる。どのような微生物によって発こうするのか。

〈方法〉

固めた寒天に納豆、ヨーグルト、キムチを置き、ふ卵器(温度35℃)の中での変化をみる。

〈結果〉

5日後、それぞれの寒天に「カビ」が広がった。納豆の「カビ」はうす茶色で、立体的ではなくペタッとしている。しめっぽい感じだ。ヨーグルトとキムチの「カビ」は、綿あめのようにフワフワしている。

〈分かったこと〉

ヨーグルトとキムチの発こうにかかわる微生物(カビなど)は同じ種類で、納豆とは違う種類だ。

《実験7-2》

カビVS「カビ」。発こう食品の「カビ」が生えている所に、普通のカビは生えるか。

〈方法〉

ヨーグルトの「カビ」、納豆の「カビ」、ご飯の黒カビのうち2種類ずつを同じ寒天に置いて、小屋での変化をみる。

〈結果〉

5日後、どの「カビ」も広がらなかった。寒天ではカビが生えにくいのか。

5日後、どの「カビ」も広がらなかった。

【ご飯編】

《実験8》

ご飯をいたみにくくする方法を考えよう(その1)

〈方法〉

ご飯を包む材料を変えて、ご飯のいたみ方を調べる。ご飯を笹の葉、ほう葉、食品用ラップ、お弁当シートで包み、小屋の中に置いて、5日後の変化をみる。

〈結果〉

何もしないで置いたご飯には、いろいろな色のカビが一面に生えた。ラップではご飯の上にカビは見られなかったが、少し酸っぱいにおいがして、ご飯粒がネバネバしていた。笹の葉ではご飯全体が白っぽいカビでおおわれていた。ほう葉では、いろいろな種類のカビが生えていた。お弁当シートでは、カビの量が明らかに少なかった。ラップのものと比べ、においはあまりしなかった。

〈分かったこと〉

お弁当シートが一番いたみにくかった。しかし普通は、ご飯を5日間も室内に放置することはない。12時間ごと、72時間後までの変化を調べる再実験をした。包む材料がどんなものでも、24時間以内ならご飯のいたみ方にそれほど違いはなかった。しかし48時間ほどたつと、どのような材料でもカビやにおいがし始める。

《実験9》

ご飯をいたみにくくする方法を考えよう(その2)

〈方法〉

ご飯に食塩、ねり梅、塩こんぶ、ワサビ、酢、ふりかけ(「のりたま」)、赤紫蘇(「ゆかり」)を混ぜ、トレイに入れて小屋の中での変化をみた。

〈分かったこと〉

24時間以内なら、具の種類はあまり関係しない。しかし、ワサビやねり梅には、ご飯をいたみにくくする働きがあるようだ。

《実験10》

おにぎりの中身は、カビなどの微生物を防ぐことができるのか。

〈方法〉

固めた寒天に食塩、ねり梅、塩こんぶ、ワサビ、「のりたま」「ゆかり」をのせ、小屋の中での変化を調べる。

〈分かったこと〉

24時間程度ならいずれにも大きな変化はない。48時間後から塩こんぶ、「のりたま」ではカビが生えた。食塩、ねり梅、ワサビ、「ゆかり」は96時間過ぎても大きな変化はなく、カビなどの微生物を防ぐ働きがある。

研究を終えて

 発こうや塩漬けなど、食品を保存する技術を考え出した昔の人の知恵に驚かされた。こうした知恵を再度見直し、自分たちの生活の中に生かしていきたい。

指導について

指導について竹中尚士

 高学年になり、少年団の活動等で弁当を持って外出する機会が増えた。炎天下での活動が多く、弁当の保管場所によっては、せっかくの弁当が傷んでしまう。だからと言って、大好きなおかずは制限したくない…。どうしたら、傷みにくくおいしい弁当を食べることができるのだろうか。そんな思いから、今年の研究はスタートした。様々な食物を使って「保管方法の違い」「保存の仕方の工夫」「調理方法」等による食べ物の傷み方を調べた。食べ物の傷み方を表す方法として、『五感』に頼るだけでなく、数値として表すために「(食べ物は)傷んでくると酸っぱい味がする」ことから、pHを用いることを考えた。その結果、食べ物は『五感』で傷みを感じる前から傷み始め、pH値が変化し始めることを突き止めた。これからも、身近な生活の中にある「不思議」を一つ一つ自らの知恵で解決し、今後の生活を豊かにしていってくれることを願っている。

審査評

審査評[審査員] 加藤惠己

 どうしたらいたみにくいお弁当をつくることができるか、いろいろな条件でいたみにくさ(いたみやすさ)を調べました。日常の経験や言い伝えられた方法に注目して、様々に条件を設定して検証したという点を高く評価します。食品を保存するときの温度条件や加熱処理の影響、食塩、酢、ビタミンCなどの添加物の影響、また、ご飯の保存方法についても細かに調べています。「くさる」ことなくこつこつと地道にできました。最後につくって食べたお弁当は一味違う美味しさだったことでしょう。
  一つだけ指摘しておかなければならないことがあります。発酵食品ができるときにはたらく微生物と、発酵食品が腐るときにはたらく微生物は別のものです(実験7関連)。詳しいことは中学、高校で勉強して下さい。その好奇心と粘り強さがあれば、いろいろなことをどんどん吸収していけると思います。

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