秋山先生メッセージ

 

 子どもの頃、教室でどんな勉強をしたのかを私はあまり良く思い出せません。しかし、時間をかけて実験や観察、物づくりや調べ学習をしたことは今でもよく覚えています。ひょっとすると、それが現在の私の原点なのかもしれません。

(1) 星空や気象の観測をし、八ヶ岳の山麓で生まれて初めて彗星を見てその美しさと宇宙の神秘に感動したこと
(2) 蟻の作る迷路を観察するために大きなマヨネーズのビンに土を入れ、その中で沢山の蟻を飼ったこと
(3) みの虫のみのから幼虫を引っ張り出し、それを毛糸の糸くずの中に入れ、美しい衣装を着たみの虫を作り、友にプレゼントしたこと
(4) 糸電話で隣室の兄弟たちと話したこと。自作の鉱石ラジオからかすかに音が聞こえてきたときの感動
(5) いかだを作って、みんなで川で試乗し、なぜか私が川に落ち溺れそうになったこと
(6) 自転車を分解したが、組み立て直せなくなり、父にこっぴどく叱られたこと
(7) 小鳥のつがいを飼って、何十羽にも増やし、それらを売って小遣い銭を稼いだこと
(8) 植物の楮(こうぞ)や三又(みつまた)を顕微鏡で観察し、紙ができるまでの工程を調査し、展覧会に出品し、先生に褒められたこと


子どもたちへの最大のプレゼントは、自然の神秘に触れさせ、試行錯誤の末、不思議を解き明かす術を与えることです。このような感動体験を何度か味わうと、自ずと“科学の目”、“科学の心”、“科学の頭”が備わり、発想の泉が若者たちの頭の中に掘り起こされるのです。

 自然科学観察コンクールは今回で第51回。子どもたちの科学する心を、半世紀を超えて応援し続けているこのコンクールは、「身近な不思議を感じ、解明する」感動体験を味わうことのできる絶好の場です。
本コンクールを通じて、今年もまた一人でも多くの子どもたちが、自然科学の真の面白さに目覚めていただけることを望んでいます。

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プロフィール

秋山仁(あきやまじん)

理学博士、東海大学教育開発研究所所長、(NPO)体験型科学教育研究所理事長、ヨーロッパ科学院会員。

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