子供の科学 科学のちから

科学のチカラで綱引きに勝つ!

もうすぐ運動会! 4年生の力君は、綱引きのクラスの責任者になりました。でも、力君のクラスは、腕力に自身のない人ばっかり。綱引きで強い相手に勝てる方法はあるのでしょうか? 家に帰ってお父さんに聞いてみました。



  • 綱引きは腕力比べのように思う人が多いかもしれないけれど、本当は摩擦力の比べあいなんだよ。
    だから摩擦力のことがよくわかれば、わかっていないチームよりは確実に強くなれるよ。
  • 摩擦力?
  • こすれるときに働く力のことだよ。
    たとえば、クラスで体重も力の強さも同じくらいのA君とB君に綱引きをしてもらう。
    そのとき負けた人、たとえばB君が、もう一人の別の人を背負ってA君と綱引きをする。今度はどちらが勝つと思う?
  • 今度もA君じゃないかなぁ。人を背負うと力が入らなくて負けそうだもん。
  • 実際に試してみてごらん。人を背負ったB君が勝つんだよ。
    地面と靴との間の押し合う力が大きくなると、摩擦力も大きくなるからだ。
  • じゃあ、選手を選ぶならなるべく体重の重い人がいいんだ! 全員が上着を着て出るのも少しは得なのかな?
  • 今度は最初に勝ったA君に底がつるつるのスリッパをはいてもらって、B君と対決してもらおう。どうなると思う?
  • これはB君が勝ちそう。
  • そうだね。これも試してみると楽しいよ。B君が勝つのは、摩擦力は地面と靴の間の面の状態で変わるからなんだ。
  • じゃあ、全員がすべりにくいゴム底の運動靴をはいているのも大切だね。
    裸足もダメだね。
  • これ以外にも、引く力が綱に対して上向きや下向きになると引く力の一部しか使えない。
    引く力全部を使うには、選手の背の高さがバラバラなのは良くないんだ。
  • じゃあ、背の高さの順に並ぶのがいいんだね。

背の順がバラバラだと、引く方向もバラバラになって、全体としての引く力が弱くなってしまう。背の順にならべば、綱を一直線に引くことができて、引く力が強くなるぞ。


  • もう一つは、真っ直ぐに立つのではなく、両足より後ろに体重がかかるような姿勢を保つこと。
    こうすると、身体が下に引かれる重力の一部を引く力として利用できるんだ。
  • どうやったらみんながその姿勢になるかなぁ。
  • 顔が上を向くようにするといいよ。 全員しっかり上を向く。
  • さっそく、クラスのみんなに教えてあげなくちゃ!
まとめ よし、今度の綱引き、これでぜったい負けないぞ! 綱引きにも科学が役立つんだね!

同じ体重のA君とB君。ふつうの綱引きでは、力の強いA君が勝つ。でも人を背負うと、腕力に変化はないのに、B君のほうが勝つ。下向きの力が強い方が、摩擦力が強い。つまり、同じ腕力なら、体重が重いほうが綱引きは強いんだ。


靴底がツルツルだと、すべってしまって綱に力が伝わらない。すべりにくい靴なら、ほとんどの力を引く力に使えるんだ。


重力の力、つまり後ろに倒れそうになる力を引く力に利用すれば、腕力以上に強い力を綱に伝えられる。後ろに傾いた姿勢で引くほうが有利だ!

  • 著:滝川洋二(NPO法人ガリレオ工房理事長/東京大学教養学部附属教養教育開発機構)
  • イラスト:有留晴香
  • 提供:(株)誠文堂新光社「子供の科学」編集・加筆

この実験を参考に、いろいろな研究テーマを探してみよう!

実際にやってみよう

実際に2人や少人数で綱引きをしたり、バネばかりを引っ張ったりして、摩擦の大小による力の伝わり具合いを調べてみよう。

綱引き必勝法!

ルール違反にならない範囲で、体重を重くしたり、靴底、手のひらの摩擦を大きくする方法を考えてみよう。綱引き会場の床(地面)の質によっても、工夫の仕方は変わるはず!

摩擦の利用と摩擦の軽減

スタッドレスタイヤやレーシングカーのタイヤなど摩擦を増やす工夫、ハードディスクなど摩擦を減らす工夫をしている機器や、その工夫の実際の効果を調べてみよう。摩擦が増えると有利なもの、摩擦がないほうが有利なもの、それぞれいくつ見つかる?

摩擦ゼロ! が生み出す世界

リニアモーターカーやエアロトレインの技術に見る、摩擦をなくすことによる高速化の技術について調べてみよう。地面に触れずに、どうやって高速で走っているのかな? 空気との摩擦は、どうやって減らしている?

作品ができあがったらシゼコンにチャレンジしよう

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