子供の科学

色素の謎を分析する ペーパー・クロマトグラフ

黒一色のはずの黒サインペン。でも、そのインクにはさまざまな色が隠れている。成分分析法のひとつ「ペーパー・クロマトグラフ」のしくみを応用して、簡単な道具で分析してみよう。

 


 ペーパー・クロマトグラフは、試料(色素)を置いたろ紙などの片側から溶液(展開液という)をしみこませ、試料の色がにじんで動いた距離などで成分を調べる方法。単純そうに見えるが、実は専門家も用いる本格的な実験だ。たとえば1952年のノーベル化学賞は、この方法でアミノ酸などを研究したイギリスのA・J・マーチン博士らに贈られている。
  なお、通常のペーパー・クロマトグラフでは、試料から色素を取り出すのにも、また、展開液にも有機溶媒(アセトンなど)を使う。ただし、これらは扱いがちょっと面倒だし危険性もあるので、ここではシンプルに水を使う。水は「溶かせるものの種類」という点ではとても優れているから、充分におもしろい結果が得られるぞ。

用意するもの
●吸い取り紙:長四角の標準的なもの。数枚。
●目玉クリップ:幅3cmぐらいのものが使いやすい。
●タコ糸
●ペットボトル:炭酸飲料用の円筒形のもので、1.5リットルが使いやすい。2個用意する。
●黒サインペン:水性と表示されているもの。メーカーやブランドのちがうものを数種類用意する。細書きか中字がよい。
●この他に、はさみキリビニールテープなど。

注意 ペットボトルを切るとき、カッターなどだと滑って手をケガしやすい。充分注意すること。なお、市販されている専用の「ペットボトルはさみ」があれば便利だ。


吸い取り紙の片方の端、2~2.5cmのところにえんぴつで線を引く。水にひたす目安の線として、1~1.5cmのところにもう1本引いてもよい。


この線の上に、数種類の水性サインペンで点をうつ。軽く打ったら乾かしながら、何回かに分けるとにじみが少ない。メーカーやブランドのちがう「黒」を並べてみた。


吸い取り紙の端を水につける。写真のような容器(ペットボトル2本を切ってつなげたもの)を作っておくと、水の蒸発が少なくなって実験をよりスムーズに行える。


水が上がり始めるとインクも少しずつ上に…。黒インクなのに色が分かれてきたぞ! 最初の数分間は勢いよく上がるが、次第にスピードが落ちてくる。


約1時間で吸い取り紙の上端まで上がってしまうので、上がりきらないうちに水からだそう。上がりきってしまうと、比較できなくなる場合があるためだ。


ちょっといたずらで、図形を描いて実験してみた。いろんな色が現れて混ざり合い、すごくカラフルだ。


こうやって撮ったよ

 黒インクは黒だけのものもあるが、ほとんどの場合はいろいろな色素が含まれている。これは、紙などに書いたとき、黒がより黒っぽくあざやかに見えるように、また、よりよい書き味になるように、いろいろな色や性質のインクを混ぜてあるため。色素の粒はその種類ごとに、大きさや重さ、水とのなじみやすさ、紙へのくっつきやすさなどがちがうから、一定の速さで移動していく水によって、それぞれちがった距離だけ運ばれる。だから、このように分離できるというわけだ。

 

文:山村紳一郎
写真:甲木聡


野菜の色素も調べよう

 自然の色素といえば、花や草の色。そこでいろいろな植物をすりつぶして色素を取り出し、ペーパー・クロマトグラフでその成分を調べてみよう。水だけだとちょっと難しいけれど、うまくいくと色素の意外なひみつがわかるかもね。

 

注意

実験の過程で、ストローを熱する際に火を使います。必ず大人と一緒に作業を行い、やけどをしないよう十分に注意をしましょう。

1:用意した植物。上段左から、庭の草の葉、パセリ、お茶(抹茶)、ツツジの花、にんじん…の5種類。細かく刻んですりつぶす。 2:まずはストローを軽く熱してひっぱり、細い管を作る。これはいわばサインペンの芯で、色素を吸い取り紙につけるときに使うものだ。
3:刻んだ植物に少し水を足し、絞って出てきた汁で、吸い取り紙に点を打つ。色素はあまり濃くないので、打っては乾かし…を20回以上、繰り返す。 4:うーん、今回は時間の都合で色素が薄すぎ、ちょっとはっきりしない。でも、どれにも同じ緑色の色素があることや、花のムラサキ色が数種類に分かれていること(数カ所が濃い)などがわかった。

作品ができあがったらシゼコンにチャレンジしよう

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