愛知県刈谷市立小垣江小学校 5年 今泉 拓 他2名
お正月に神社に行ったときに、たき火をしていました。あたっているとけむたいので、立つ場所を風上に変えてみましたが、けむりがぼくたちの方へ来ました。どうしてなのか、けむりの不思議を知りたくて研究を始めることにしました。
たき火のけむりが本当に風上に来るのか、実際にたき火をするのは危険で、風を起こすのも大変なので、室内で実験することにしました。たき火を線香の束にし、人を円柱(直径6cm)にしました。単純な形の方が分かりやすいと思ったからです。風は送風機で作り、たき火からの距離を変えてみました。その結果、風上側に立てても、けむりが来ることが分かりました。でも理由は分かりません。
| 風上に立っている人が、どのくらい近づくとたき火のけむりが来るのかを調べる。 | |
| 風上に立っている人にもけむりが来るわけを調べる。 |
はじめに、「けむりが来る」という状態を「5秒以上続けて人のモデルにけむりが来続けている状態」とすることに決めました。
《追究1》
様々に条件を変え、風上に立っている人にけむりが来るときの人とたき火との距離を調べる。
〈実験1〉
人の大きさを変えると、たき火のけむりが来る距離が変わるか。
〈実験2〉
人のモデルを底面が正方形の四角柱に変えると、たき火のけむりが来る距離が変わるのか。
| 目的:四角柱は円柱よりも風をよくさえぎるので、けむりの来る距離は短くなると考えた。 | |
| 方法:四角柱は底面の一辺が2.5㎝、4cm、6cmの3種類。 | |
結果: ![]() |
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| 分かったこと:四角柱の一辺の長さと円柱の直径が同じものとを比べると、四角柱の方がけむりの来る距離が長い。その距離は一辺の長さの約2倍になっている。 |
〈実験3〉
人のモデルを底面が長方形の四角柱に変えると、たき火のけむりが来る距離が変わるのか。
| 目的:風を受ける四角柱の厚さが、けむりの来る距離に影響するかを調べる。 | |
| 方法:四角柱の底面は2×4cm、2.5×5cm、3×6cmの3種類。 | |
結果: ![]() |
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| 分かったこと:底面を正方形から長方形に変えると、けむりの来る距離が長くなる。その距離は長方形の横の長さ(長辺)の約3倍になっている。 |
〈実験4〉
人のモデルの表面にでこぼこを付けると、たき火のけむりが来る距離が変わるのか。
| 目的:表面がでこぼこの方が、風が乱れてけむりの来る距離が長くなると考えた。 | |
| 方法:使ったモデルは、周りを彫刻刀でけずった直径4cmの円柱と底面が2×4cmの四角柱。 | |
結果:![]() |
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| 分かったこと:距離は長くならなかった。風速が弱ではあまり違いはないが、中、強では少し距離が短くなった。 |
《追究1のまとめ》
| たき火のけむりが来る距離は、人のモデルが大きくなればなるほど長くなる。 | |||||||||||||
モデルの形によって、けむりが来る距離にきまりがある。
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| モデルの表面にでこぼこを付けると、少しけむりが来る距離が短くなる。 |
どうして(1)~(3)のようになるのか分かりません。これらの疑問を解明するには、風上に立った人とたき火の間の、空気の流れを知る必要があると考えました。
《追究2》風が人を通り過ぎた後、空気はどのように動くのかを調べる。
〈実験5〉
線香のけむり、シャボン玉を使って空気の動きを調べる。
| 目的:4年生のときに、温められた空気の動きを線香のけむりを使って見たのを思い出した。「シャボン玉もおもしろそう」ということで、これらを使って調べてみる。 | |
| 方法:円柱(人のモデル)と送風機の間に線香のけむり、シャボン玉を送り込み、動きを目で確かめる。 | |
| 結果:線香のけむりでは分からなかった。シャボン玉はほとんどが円柱を通り過ぎて行ったが、たまにそこから円柱に戻って来るのがあった。 | |
| 分かったこと:シャボン玉の動きから、風が円柱を過ぎた後、円柱に戻って来る風があることが分かった。この戻る風に乗って、けむりが風上に来ていると考えられる。しかし、どのように戻って来ているかは、まだ分かりません。 |
〈実験6〉
ひもを使って、空気の動きを調べる。
| 目的:空気が出ていることが分かるように、エアーカーテンに取り付けてあったビニールひもを思い出し、シャボン玉に代わり使ってみる。 | |
| 方法:底面が正方形の四角柱にひもを付けて、風を送り、空気の動きを見る。 | |
結果:ひもがたまにうねったり、四角柱の方に戻ったりした。![]() |
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| 分かったこと:ひもがうねるので、風はまっすぐには進んでいない。ひもが戻る動きがあるので、四角柱に向かう空気の流れがあると考えられる。 |
〈実験7〉
ドライアイスを使って、人のモデルを風が通り過ぎた後の空気の動きを調べる。
| 目的:見えない空気の流れを、ドライアイスで見る。 | |
| 方法:傾斜のある装置をダンボールで作り、ペットボトルに入れたドライアイスを斜面に沿って流す。 | |
| 結果:人のモデルを通過していく流れは見えたが、通過してからモデルに向かう流れは見えなかった。そこで直接、送風機でペットボトルのドライアイスを流してみたが、やはりよく分からなかった。 |
〈実験8〉
空気の流れを水の流れに置きかえて、人のモデルを風が通り過ぎた後の空気の動きを調べる。
〈実験9〉
アルミニウム粉末を使って、人のモデルを風が通り過ぎた後の空気の動きを調べる。
| 目的:もっとよく見えるように、発泡スチロールよりも細かいアルミニウム粉末を使い、円柱を通り過ぎた水がカーブして円柱に向かう道すじを、「水流君」で調べる。 | |
| 方法:実験8に同じ。 | |
| 結果:円柱の左右から交互に入り込むうずが見られた。 | |
| 分かったこと:風上側から人を通過した風は、左右交互にうずを巻き、たき火のけむりを巻き込んで風上側の人に向かってけむりを運び続ける。 |
《追究3》人のモデルが大きくなると、けむりが来る距離が長くなるのはどうしてかを調べる。
〈実験10〉
| 目的:円柱の直径を変え、「水流君」でできたうずの大きさを調べる。 | |
| 方法:直径4cm、6cmの円柱を使い、実験9と同じ方法で行う。 | |
結果:一つ目のうずは、円柱の底面とほほ同じ大きさになる。そのため円柱の直径が大きくなればなるほどうずは大きくなり、たき火との距離が長くなってもけむりが来る。これで実験1の結果も説明できた。![]() ![]() |
《追究4》形の違いで、けむりが来る距離が違うのはどうしてかを調べる。
〈実験11〉
円柱と底面が正方形の四角柱とで、距離の違いを調べる。
| 目的:うずのできかたが、円柱と底面が正方形の四角柱とでどのように違うかを見る。 | |
| 方法:底面の一辺が6cmの四角柱を使い、「水流君」で調べる。実験10の直径6cmの円柱の結果と比べる。 | |
| 結果:底面の一辺が6cmの四角柱では、一つ目のうずが約12cmのところから巻き込んでいた。 | |
| 分かったこと:底面が正方形の四角柱によってできるうずの直径は、円柱でできるうずの2倍になっている。このことが実験2の結果の理由にもなる。 |
〈実験12〉
底面が長方形の四角柱は、他の形と比べ、けむりが来る距離が長いのはどうしてかを調べる。
〈実験13〉
風上に戻って来るためのうずの大きさが、人のモデルの形によって違うのはどうしてかを調べる。
《追究5》人のモデルにでこぼこをつけると、つけないものより、けむりの距離が多少短くなるのはどうしてかを調べる。
〈実験14〉
| 目的:でこぼこをつけた人のモデルの水の流れ方を調べ、実験4の結果の理由を考える。 | |
| 方法:実験4で用いたでこぼこを入れた直径4cmの円柱を使い、実験10と同じ方法で行う。 | |
結果:![]() ![]() |
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| 分かったこと:でこぼこをつけると、うずのできる反対側の水の流れが人のモデルの幅よりも内側に入り込み、風上に向かって出ているうずが小さくなる。 そのため、けむりを引き込む距離が短くなり、風上にけむりが来る距離も短くなった。 |
まとめ
| たき火のけむりが風上に立っている人にも来るの は、立っている人の風下側にうずができ、それにけ むりが巻き込まれて、戻って来るからだ。 | |
| 風上に立つ人のモデルの大きさによって、けむりが 来る距離が違う。モデルの幅が大きいほど、風下側 にできるうずが大きくなるからだ。 | |
| 風上に立つ人のモデルの形が変わると、けむりが来 る距離も変わる。通り過ぎる風とモデルの間にでき るすき間の距離が形によって違い、風下側にできる うずの大きさも異なるため、たき火のけむりが来る 距離が違ってくるからだ。 | |
| 人のモデルの周りにでこぼこを付けると、風が通過 してうずができる反対側の流れが内側に入るため、 風下側のうずが小さくなり、風上に来るけむりの距 離が短くなる。 |
なぜ風上にたき火のけむりが来るのか、不思議でた まりませんでしたが、ようやくなぞがとけてすっきり しています。この研究で、いろいろな流れの美しさ、 おもしろさ、不思議さを知りました。いろいろ苦労は しましたが、これからも、自然の不思議さを追究して いきたい。
おわりに
風力発電に対する認識の甘さを実感した。「ブレードを回して電圧・電流を測定する」という単純なことではなく、分からないこと、理解しがたいことが多かった。実験をしていく中で、風の動きやその性質がわずかに分かりかけてきた。反省点も多かった。事前学習の不足、実験計画の甘さ、実験装置に対する理解不足など。途中で、必要な装置や操作があることを知り、そのたびに追加の作業があった。調べたいこと、やってみたいこと、疑問もわいてくる。それをできる状況にあることに感謝したい。
審査評 審査員 金子明石
この研究は身近な題材を取り上げている点や、実験をすすめるにあたり、素材のえらび方を何度も変えながら当初の疑問を解決に導いた点が高く評価されたと思います。
風上に立ってもたき火のけむりがやってくる場合があるのは、その人の風下側にできる空気の渦がたき火のけむりを巻きこんで、けむりを運んでくるからである。風上に立つ人にけむりがやってくるたき火からの距離は、人モデルを円柱や四角柱に見たてた実験から円柱が太いほど大きな渦ができ、四角柱の場合には風とモデルの間のすきまも渦を大きくするのに関わっていることを明らかにしている。
デブはヤセよりたき火からけむりが来やすいのかな?
指導について 刈谷市立小垣江小学校 池田正紀
「風上にもかかわらず、たき火の煙が来て煙たかったのはどうして?」という疑問から、この研究がスタートしました。
はじめに、たき火をそのまま使うのは、危険なため、モデルを使って実験することを勧めました。まず、子どもたちは人(モデル)の大きさや形で、人に煙が来続ける時のたき火と人との間の距離が 決まることを発見しました。この理由を解き明かすため、子どもたちが考えたり、調べたりして空気の流れを可視化する実験をしましたが、人とたき火との間の空気の流れを可視化できませんでした。そこで、空気を水に置き換えて実験することを勧め、実験道具の作り方もアドバイスしました。その結果、苦労して可視化することができました。そのため、空気の流れが自分たちの目で見えたときのうれしさは格別だったことでしょう。
最後に、地道に追究し、問題を解決した子どもたちにエールを送りたいと思います。