第48回入賞作品 小学校の部
3等賞

なんじゃもんじゃ オオマリコケムシ

3等賞

茨城県つくば市立上郷小学校4年・6年
古澤修平・古澤裕人
  • 茨城県つくば市立上郷小学校4年・6年
    古澤修平・古澤裕人
  • 第48回入賞作品
    小学校の部
    3等賞

    3等賞

研究の動機

 以前テレビで「オオマリコケムシ」の特集を見ました。2、3年ぐらいたって、家の近くで、グニャグニャしていて脳みそみたいなものを発見しました。その時は気持ちが悪いものだと思いました。その後、茨城県自然博物館でオオマリコケムシについて調べているというので、もしかしてあの変な物体かもと思い、写真を撮って同博物館の池澤先生に見てもらったらやはりオオマリコケムシでした。まだ十分な調査や研究が行われていないというので、オオマリコケムシについて、どんな生き物なのか、「コケ」と付くから植物なのか、「ムシ」と付くので動物なのか、その正体を明らかにしたいと思いました。

〈1〉オオマリコケムシはいったい何者か

 インターネットで集めた情報によると、オオマリコケムシは外来種の動物です。その分類は「触手動物門、コケムシ綱、えんこう目、ヒメテンコケムシ科」とか「外肛動物門、コケムシ綱」や「被口綱、ヒテンコケムシ科」などとはっきりしていません。
池澤先生によると、コケムシ類は世界で現在約4000種が確認されており、そのうち淡水種は約50種が報告されています。日本では淡水種17種類が確認されているそうです。その中でオオマリコケムシを、池澤先生は「外肛動物門、被喉綱、オオマリコケムシ科」と分類しています。オオマリコケムシとは、大きさが1㎜前後の小さな「個虫」が多数集まって、水中の岩の表面などに群体をつくって生活している動物です。海産のものが多いが、汽水や淡水に生息するものもいます。

〈2〉オオマリコケムシはどこにいるのか

 オオマリコケムシは、北アメリカからやって来た外来種で、日本では1971年に(72年ともありますが)山梨県・河口湖で初めて見つかりました。その後各地で発見されています。オオマリコケムシには「休芽」と呼ばれる植物のたねみたいなものがあって、それが水鳥や釣り人の道具などに付いていろいろな場所に運ばれたようです。
茨城県内では、池澤先生の論文によると、これまで31カ所でオオマリコケムシの群体や休芽が確認されています。つくば市内では小田のざる池や並木公園、天久保池、上郷釣りセンター(四ツ谷釣りセンターの誤りだと思う)の4カ所です。
ぼくたちはオオマリコケムシを採集しようと、家の近くの「大曲」という、以前くねっていた小貝川が河川改修で真っ直ぐにされたために残された三日月型の川(三日月湖)と、その近くの川口公園を中心に調べました。3月頃から始めましたが、「大曲」で確認できたのは6月23日です。水が温かくなって大きく成長したので、発見できたのかもしれません。

〈3〉オオマリコケムシの特徴

大きさ:インターネットの情報では、大きさは10㎝から1mくらいとありましたが、ぼくたちが見つけたのは大きいもので50~60㎝ありました。でも大きいものは水中から出す時に、寒天質の部分が切れてしまうことがあり、意外ともろいことが分かりました。
形:小さいものは丸く、ボールのようになっていますが、大きいものは全体的にオムライスのような形をしています。どちらも中の分厚い寒天質の部分がそり返っていて、丸くなった表面部分に「個虫」が星のような模様となって広がっていました。
 「個虫が寒天質の部分をたくさん作り出し、表面積を大きくすることで、個虫が増えることができるのかもしれない」と、池澤先生は教えて下さいました。
個虫:双眼実体顕微鏡を使って観察しましたが、はじめは個虫を見つけることはなかなかできませんでした。というのも、ぼくたちはオオマリコケムシを大曲から採集してくると、まず家で水そうに入れました。その後、少し時間が経ってから、あるいは翌日に顕微鏡で観察したからです。おそらく、個虫は場所(環境)が変わると時間とともに弱ってしまうためだと気がつきました。そこで、大曲から採集して来てすぐに顕微鏡で見て、やっと個虫を観察できました。
 個虫は馬てい形をしています。大きさは1㎜くらいで、肉眼でも何とか確認できました。さらに個虫には40本くらいの「触手」が出ていました。この触手をのばして、水中のプランクトンをこしとって食べているそうです。
 個虫の観察できた部分を次の日にまた見てみると、触手はまったく見えず、休芽や黒いつぶつぶが見えました。2、3日するとシャーレの中のオオマリコケムシはとても小さくなっていました。おそらく環境が変わり、死んでしまったのです。
休芽:採集したオオマリコケムシを水そうに入れると、すぐにゴマのようなつぶつぶが浮かんできました。これが休芽です。大きさは1㎜ぐらい。休芽は茶色いからでおおわれ、中に栄養物と個虫をつくる細胞が入っているそうです。双眼実体顕微鏡で見ると、円盤状をしていて、回りにとげのようなものが14本ぐらい付いていました。このとげを見た時、オナモミの種のように物にくっつきやすいためかなと思いました。休芽は、円盤状の外側(ドーナッツ部分)に空気が入った小さな部屋があり、浮きやすくなっているそうです。
 オオマリコケムシのようなコケムシ類は、個虫から休芽を出し、仲間を増やしていくそうです。休芽は乾燥にも強く、水温が低くなると個虫は死んでしまいますが、休芽が水面や地面、植物などについていて、暖かくなるのを待って発芽し、個虫になるのだそうです。「発芽する」なんて、植物みたいです。
毒性:採集したオオマリコケムシを水そうに入れ、次の日に観察しようとしたら、同じ水そうの中のフナ2匹、金魚1匹が死んでいました。2、3日したら体長20㎝ほどのフナも死んでしまいました。個虫の部分に毒があるのではと考えました。なぜなら、魚がオオマリコケムシの寒天質の部分をよく食べるので、自分を守ろうと個虫の部分に毒を入れておくのだと思ったからです。さらにまたオオマリコケムシを水そうに入れたら、3度目もフナが死んでしまいました。お父さんにメールで池澤先生に聞いてもらったところ、返事が来ました。オオマリコケムシの毒性に関してはよく調べられていないそうですが、同じ淡水コケムシのヒメテンコケムシの体こう液には毒があり、濃度が高い場合には、魚のえら組織に作用してちっ息死させることが実験でわかっているそうです。これは魚に食べられないための、コケムシの自己防衛の1つだということです。
 やはりぼくたちが予想したように、オオマリコケムシにも毒性があるようです。ただ、ぼくは金魚が好きだし、これ以上金魚を入れて実験したくなかったので、次回は別の方法で、オオマリコケムシの毒性について詳しく調べようと思います。
 自然の池や川については水そうよりも広いし、魚が毒を感じて食べるのをやめるので大量に死ぬこともなく、共生していけるのではないだろうか。
感想と今後の課題

なぞの物体だったオオマリコケムシのことが分かり、個虫や休芽も顕微鏡で見ることができましたが、新しい疑問や興味も出てきました。1つ目はオオマリコケムシの毒性です。2つ目は休芽から個虫が出てくるのも見てみたい。休芽を一度冷やし温めていくと、個虫が出てくるそうです。3つ目は、オオマリコケムシと水質の関係です。汚れているところを好んで生活しているのか。以上のことを調査していきたいと思います。

指導について

指導についてつくば市立上郷小学校 大山 喜裕

 生態などが未だ完全に明らかにされていない「オオマリコケムシ」という生き物に興味をもち、植物なのか動物なのか、あるいはもっと不思議な生き物なのか、正体を明らかにしたいという疑問から研究が始まりました。
   ねばり強い丁寧な観察を中心に、茨城県自然博物館の先生への聞き取りやインターネットによる調査を行いました。研究の結果、オオマリコケムシは、「外肛門動物門被喉綱オオマリコケムシ科」に属すること、大きさ1mm前後の個虫が多数集まって群体を作る外来種であること、『休芽』とよばれる状態から増えていくこと、毒性をもつ可能性があることを明らかにすることができました。
 同時に、毒性と繁殖の仕方、生息環境について更なる疑問がふくらんでいますが、いずれも非常に興味深い疑問になっており、私自身続編が楽しみな研究になりました。尽きることのない子供自身の探究心と、保護者のご理解とご協力により実現した研究です。

審査評

審査評[審査員] 金子 明石

 テレビで見たことのあるオオマリコケムシが裕人君の家の近くにいることがわかり、調べてみようと思ったのが研究のきっかけのようですね。インターネットで分類上の位置や北アメリカ産の外来動物であり、1mmぐらいの個虫が集まって10cm~1mの群体をつくることなどはわかったが、生態的なことや生活がはっきりしてないことを知り、自分で飼育し観察していることは高く評価します。双眼実体顕微鏡を使い個虫や休芽を観察し形態について書いています。群体はとり出す時にこわれやすく、翌日ぐらいには死んで休芽を残すことは体験しなくてはわからないことです。水槽の魚が死んだことから毒性が? と推測してますね、新発見になるかも知れません。
 情報収集をし、よく観察記録することは科学の基礎です。裕人君は立派に実行しています。新しい課題も見つかったようです。今後の研究の発展を期待します。

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