第46回入賞作品 中学校の部
継続研究奨励賞

雨が降っても大丈夫!グランドに適した土とは?

継続研究奨励賞

茨城県龍ケ崎市立愛宕中学校3年
廣瀬 亜耶
  • 茨城県龍ケ崎市立愛宕中学校3年
    廣瀬 亜耶
  • 第46回入賞作品
    中学校の部
    継続研究奨励賞

    継続研究奨励賞

研究の動機

 一昨年から、水はけと土の関係、土の衝撃を吸収する力などについて調べ、グランドに適した土の条件を突き止めようと研究に取り組んできた。その結果、次の8点のことが分かった。

砂は、圧力に対して体積の変化が少ない。
黒土に水がよくしみこむが、排水の点では砂の方が優れているので、黒土と砂で層を作るとよい。
砂を表面に、さらに赤土と黒土とが接しないように砂を入れると、乾きやすくなる。
土の中に隙間があると、衝撃を吸収する。
黒土も赤土も、砂を混ぜることによって、水をより多くしみこませることができる。
赤土、黒土、砂の性質の違いは、粒子の形と大きさのそろい方によって生じる。
ふるいにかけた土とそのままの土では、性質に違いが出る。
粒子に小さな穴が開いている素焼きの鉢の破片で、水はけのよい、乾きやすい表土を作ることができる。

 グランドに適した土として〈表土に砂を混ぜ、よく空気を含ませる。その上に、素焼きの鉢を砕いたものを敷く。このとき、ある程度の大きさをもつ粒子を使用する〉という結論を得たが、「素焼きの鉢を砕いたもの」を大量に用意できず、実験はできなかった。
  同様な性質の土を探したところ、「アンツーカー」という土が市販されていた。アンツーカーは、水はけをよくするために、陸上競技場のトラックやテニスコートなどの表土として使用される、多孔性の人口土だ。そこで、アンツーカーをグランドの表土に混ぜたときの、水はけの効果を調べることにした。

《仮説1》 砂の代わりにアンツーカーを混ぜると、もっと水はけのよい土になる。
《仮説2》 降雨により、細かい粒が一番上に集まり、水はけが悪くなり、水たまりができやすくなる。
《仮説3》 赤土や黒土はより小さな粒子が集まって粒を作っているので、圧力がかかると、土の粒子がさらに細かくなってしまう。

実験1 アンツーカーの吸水性と速乾性を調べる

実験1-A:

吸収性を調べる。紙コップの底に穴(35個)をあけ、土を高さ6cmまで入れて、1分間で100cm3の水を注ぐ。水を含んだ(吸水した)土の重さ、穴から落ちてきた水の量を量る。〈結果〉細かい粒子と、振るわないそのままの粒子は、すべての水を注ぎ入れることはできず40g近くが残った。中粒はすべて注ぎ入れることができた。 コップの底から落ちた水は、中粒が33.1g、そのままが2.4g、細粒が0gだった。アンツーカーはその質量の40%近くの水を吸収できることが分かった。

実験1-B:

速乾性を調べる。1-Aのアンツーカーを日なたに置き(60分間)、10分ごとに重さを量る。

〈結果〉

振るわないそのままの粒子は、9.7gの水が蒸発した。中粒は7.5g、細粒は7gが蒸発した。

実験2 アンツーカーと混ぜ合わせた土の吸水性と速乾性を調べる

実験2-A:

吸水性を調べる。混ぜる割合は1:1、1:2、1:3、1:4とした。

実験2-B:

速乾性を調べる。混ぜる割合は2-Aと同じ。

《結果》

  吸水率(%) 蒸発量(g)
赤土:アンツーカー= 1:1……40.5 5.5
  1:2……38.0 7.8
  1:3……36.9 10.4
  1:4……34.0 5.6
  2:1……45.0 5.8
  3:1……47.2 3.3
  4:1……48.7 4.5
     
黒土:アンツーカー= 1:1……41.8 3.6
  1:2……35.4 4.6
  1:3……35.0 7.5
  1:4……34.3 9.0
  2:1……45.3 1.9
  3:1……51.5 3.9
  4:1……58.9 7.3

実験3 水中でかくはん後、土が層状になるかどうかを調べる

〈方法〉

アンツーカー、赤土、黒土、砂の2種類をそれぞれ1:1、1:2、1:3、1:4の割合で混ぜる。組み合わせは、アンツーカーと砂の混ぜ合わせをのぞく28通り。混ぜた土(120cm3)をコップに入れ、これに水(240cm3)注ぐ。セロファンで密封し、40回上下に振ってかくはん。120分間静置後、観察する。

〈結果〉

すべての場合、下に粗い粒子が沈み、上に行くほど細かい粒子となって層状になった。赤土または黒土の細粒が一番上の層を形成し、その下にアンツーカーの細粒が層を作った。細粒の層の厚さは、砂を混ぜたときより、アンツーカーを混ぜたときの方が厚くなった。

実験4 圧力を加えると、土の粒子が細かくなるかどうかを調べる

〈方法〉

実験3と同じ割合で混ぜた土を細目の網で振るい、落ちた細かい粒の土の重さを量る。これを元の土に戻し、ビニール袋に入れて密封。この上で100回足踏みしてから、再び細目の網で振るい、落ちた土の重さを量り、細かな粒子が増えた量(率)を計算した。

〈結果〉

  増加率(%)   増加率(%)
アンツーカー:赤土= 1:1……5.4 砂:赤土= 1:1……6.0
  1:2……13.4   1:2……16.2
  1:3……11.4   1:3……9.9
  1:4……13.6   1:4……16.2
  2:1……4.7   2:1……3.1
  3:1……4.0   3:1……4.9
  4:1……4.1   4:1……5.6

  増加率(%)   増加率(%)
アンツーカー:黒土= 1:1……1.1 砂:黒土= 1:1……9.1
  1:2……7.9   1:2……7.2
  1:3……6.5   1:3……7.4
  1:4……4.3   1:4……5.9
  2:1……4.0   2:1……5.9
  3:1……9.0   3:1……2.8
  4:1……2.5   4:1……3.3

実験5 乾いた土の粒子、水に浸した土の粒子を光学顕微鏡で調べる

 赤土、黒土、砂、アンツーカー、素焼きの鉢の破片の5種類を調べた。砂以外は、粒子が水を含んで大きくなった。

実験6 土の粒子をよく水洗いして光学顕微鏡で調べる

 実験5の5種類をそれぞれ深皿に入れ、水を加えて、指先で押しつぶすようにして洗う。にごった水はきれいな水と入れ替え、にごらなくなったら残った粒をよく乾燥させる。

考察

赤土と黒土は、砂よりもアンツーカーを混ぜた方が水が多くしみこみ、乾きやすくなる。
水中でかくはんされると、細かい粒が一番上に集まる。
赤土と黒土は、より小さな粒子が集まって粒を形成しており、砂を混ぜて圧力をかけると粒子が細かくなり、水はけの悪い細粒が増えていく。アンツーカーを混ぜたときは、砂よりも細かい粒子ができにくい。
指導について

指導について龍ヶ崎市立愛宕中学校 幸田尚志

 廣瀬さんは吹奏楽部員で、練習している音楽室からは、グランドがよく見えます。
 ある日、廣瀬さんは、雨上がりに水たまりができたグラウンドを見ながら、どうしたらグランドに水たまりができなくなるかという素朴な疑問をもちました。そして、その疑問をそのままにしないで、自分の手で解こうと研究を始めました。
 3年目の今年は、「ぬかるむ」「アンツーカー」をキーワードに、仮説を立て、それを証明できるオリジナルの実験を試行錯誤の末、6種類考え出しました。
 そして、その実験を何十回も繰り返し行い、デジタルカメラと顕微鏡を駆使して、丁寧に調べあげました。その結果、グラウンドに適した土の条件がわかったのです。
 炎天下、膨大なデータをねばり強く集め、科学的に処理し、「不思議」を解き明かした廣瀬さんの「科学する心」に敬服しました。

審査評

審査評[審査員] 金子明石

 この研究は3年目にしてほぼ目標を達成したと思います。実験のはこびがよく整理されていて、パソコンによる文字とグラフはとても読みやすく、わかり良くて、大変好感触の作品に仕上がっています。素焼きの鉢を砕いた多孔質な土であるアンツーカーに注目し、3つの仮説、オリジナル実験6種類をくりかえし、赤土や黒土にアンツーカーを混ぜることにより吸水性と速乾性に優れた水はけの良い土を作ることに成功している。グランドでは大勢の人が運動することで、土の粒子が細かくなって水はけがわるくなっていく。多孔性の人工土であるアンツーカーを赤土や黒土とどんな割合で混ぜると理想的なグランドの土ができるかを根気よく追究している。

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