第46回入賞作品 中学校の部
1等賞

郡山市内を流れる河川の水質変化を探るH17

1等賞

福島県郡山市立郡山第六中学校3年/2年/1年
遠藤 陽平 他15名
  • 福島県郡山市立郡山第六中学校3年/2年/1年
    遠藤 陽平 他15名
  • 第46回入賞作品
    中学校の部
    1等賞

    1等賞

研究の動機

 郡山市では北から五百川、藤田川、逢瀬川、南川、 笹原川の5河川が阿武隈川に流れ込んでいます。逢瀬 川とそこに合流する亀田川は、郡山第六中学校の学区 域を流れ、最も汚れた川に挙げられています。自然科 学部では7年前から、逢瀬川流域を中心に、市内9河川 の水質調査を行い、どうすれば川がきれいになるかを 考察してきました。

研究の内容

 水生生物による水質調査と、COD(化学的酸素要求量)、NO2-(亜硝酸イオン)、導電率、pH(水素イオン濃度)、DO(溶存酸素)の理化学的な水質調査を郡山市内の9河川(72地点)で行い、過去6年間のデータと比較し、水質変化を調べる。

研究の方法

〈1〉水生生物による水質調査方法 〈2〉理化学的な水質調査方法~ (1)COD、NO2-の測定(2)導電率の測定(3)pHの測定(4)DOの測定

結果と考察

〈1〉水質調査地点〈2〉郡山地域の立体地形模型の製作と水質階級表示〈3〉郡山市内を流れる9河川の水質テトラグラフパネル製作〈4〉逢瀬川の調査結果と考察〈5〉大久保川の調査結果と考察〈6〉馬場川の調査結果と考察〈7〉亀田川の調査結果と考察〈8〉五百川の調査結果と考察〈9〉藤田川の調査結果と考察〈10〉南川の調査結果と考察〈11〉笹原川の調査結果と考察〈12〉多田野川の調査結果と考察〈13〉郡山市内を流れる9河川の水質比較

(1)水生生物による水質の比較

 最も汚れていた地点は藤田川の新日和田橋。水質階級Ⅲのヒルが優先種で、大変汚い水に棲む水質階級Ⅳのサカマキガイやセスジユスリカが生息し、ⅢとⅣの水質階級頻度合計数がともに2と、水質汚濁が最も進んでいる。原因として日和田商店街および古い家が密集し、大部分が単独浄化槽なので、台所やお風呂の汚水が直接藤田川に流れ込むなど、ドブ臭い生活雑排水の汚水が大量に流れ込んでいるためと考えられる。
  上流から下流にかけてきれいな水質が保たれているのは大久保川だ。この河川は森林に囲まれて人家もまばらで、人為的汚濁源の影響が少ない。さらに水量の豊富な安積疎水が上流から流れ、汚水を十分に希釈しているためとも考えられる。
  昨年度に比べ水質汚濁が進んでいるのは五百川下流と藤田川上流、逢瀬川最下流だ。原因として、五百川は水量の減少とともに、下流域での農業改善試験場造成にともなう大規模な水田工事によって農業用水がなく、汚水が希釈されなかったことが考えられる。藤田川上流は、生活雑排水の流入が原因に挙げられる。逢瀬川の阿武隈川合流点では、下水処理場からの排水が流入し、消毒用塩素が多く溶けているので、水生生物の生息数が急に減少している。
  今年になって著しい水質改善がみられたのは亀田川のむつみ橋中流域、南川、笹原川下流だ。これは下水道工事が進み生活雑排水の量が減少したこと、豊富な農業用水による汚水の希釈によることに加え、本校全生徒が定期的に取り組んでいる「EM亀田川浄化作戦」によって、川本来の浄化作用がよみがえり、水質階級がⅢまでに改善されている。この取り組みが今年は南川へ発展し、活動の成果が表れている。

(2)理化学的な水質の比較

C O D : 最大値は藤田川の福原橋、堀上橋で、 13.0mg/lと最も汚れている。次いで藤田川の新日和田橋と宮下橋の11.0mg/l。日和田地域から側溝排水、生活雑排水が直接流れ込んでいるためと考えられる。最小値の地点は逢瀬川上流の大滝渓谷、大滝渓谷入り口、大久保川の大将駐車場、五百川上流の二渡、磐梯熱海温泉、笹原川の蟹内橋より上流、 多田野川の山田より上流で、値は0.0mg/l。
NO2-:最大値は亀田川の希望ヶ丘橋と大島伊勢下公園で0.50mg/l。次いで亀田川のむつみ橋と逢瀬川合流地点、逢瀬川中流の逢瀬橋と的場橋の0.20mg/l。最小値は多田野川全流域、五百川の上・中流、北石筵川、矢沢川、笹原川の蟹内橋より上流域の0.00mg/lだった。
導電率:最大値は逢瀬川の阿武隈川合流地点で328.0μs/cmと、大変汚濁が進んでいることが分かった。全体的に汚れているのは逢瀬川、馬場川、藤田川下流でいずれも200/cmを超えている。最小値は逢瀬川上流の大滝渓谷入口で69.3μs/cm。
pH:最大値は南川の義経橋より下流で8.3以上と弱いアルカリ性を示した。最小値は多田野川の休石温泉で、5.1と弱酸性。これは湧き出る温泉水のためと考えられる。ほとんどの河川はpH6.5から7.5の中性だった。
DO:最小値は南川最上流の逢瀬公民館前で3.14mg/ l 。最大値は五百川上流の磐梯熱海温泉の6.43mg/lだった。

〈14〉水生生物でみる5~6年間の水質変化

逢瀬川:汚濁が進んだ地点は逢瀬橋。付近の商店街や住宅地からの生活雑排水が増えたためだ。最もきれいなのは森林に囲まれた最上流の大滝渓谷で、6年間、水質階級Ⅰの水生生物しか生息していない。前河原橋では一時水質が改善されたが、再び悪化した。
馬場川:いつも汚い地点は、下流の中ノ目橋で水質階級Ⅲ。下水道が施設されていないために新興住宅地からの生活雑排水が増え、臭いもひどい側溝排水が流れ込んでいる。
亀田川:希望ケ丘橋は水質階級Ⅲ・Ⅳといつも汚い。2004年はⅢとやや改善された。本校が取り組むEM(有用微生物群)による浄化活動の成果と考えられる。
五百川:年ごとに変化が大きいのは阿武隈川合流地点だ。2000年からの水質階級はⅠ→Ⅲ→Ⅱ→Ⅱ→Ⅲ→Ⅱ。阿武隈川の水質変化に大きく左右されている。
藤田川:新日和田橋の地点では04年に水質階級がⅢ・Ⅳとなり、年々汚くなっている。和久橋から大庵橋までの上流はきれいな地点だったが、05年は水質階級Ⅱと、流量の減少に伴い少し汚れ始めている。
南川:睦月橋では04年に、水質階級Ⅳの大変汚い水に生息する水生生物が出現した。河川堤防工事による環境変化と大量の側溝排水による。義経橋も03年まではヨシなどの水生植物が生育し、水質階級もⅠときれいだったが、その後の河川工事で、水生生物は激減した。
笹原川:新栄橋では水質階級Ⅰの水生生物が、04年に見られなくなった。生活雑排水や工場廃水などの影響と考えられる。反対に腰巻橋では、水質階級Ⅰの水生生物が増加している。これは広い水田に蓄えられた農業用水が増え、汚水が希釈されたためと考えられる。
多田野川:最も汚染が進んだ地点は川中橋で、02年から水質階級Ⅱの水生生物が増えている。前川原橋では03年から水質階級Ⅲの水生生物が出現した。常にきれいな地点は山田で、6年間水質階級Ⅰだ。

研究のまとめ

1.研究の成果

9河川の中で、最も汚れているのは藤田川中流だ。とくに新日和田橋で水質階級がⅢ・Ⅳと水質汚濁が著しかった。
最もきれいな河川は大久保川で、水質階級はⅠ、CODやNO2-、とくに導電率の値が他に比べきわめて小さかった。
最も水質変化が大きく汚濁が進んだ地点は藤田川の新日和田橋で、NO2-値、導電率の値が急に大きくなった。
この6年間の水質変化をみると、全体的にきれいになっている地点が多い。とくに亀田川や笹原川、南川下流で水質が改善されている。
上流から下流にかけて、水質が少しずつ回復している流域がしだいに増えている。

2.今後の研究課題

「水と緑のきらめく未来都市、郡山」を目指し、水質変化を継続して調査したい。
下水道整備と水質改善の関連を調べたい。
引き続き亀田川や南川で、EMによる河川浄化活動を進め、水質回復の様子を調べたい。

指導について

指導について郡山市立郡山第六中学校 佐々木清

 この研究は、郡山市の西側から流れる9河川について、6年前から水生生物による水質調査、およびCOD・NO2-・導電率・pH・DOの理化学的な水質調査を併用して行い、これらの水質データを基に72ポイント毎図表や水質テトラグラフに表し、9河川の水質変化を緻密に考察してきました。また、学区域を流れ、最も水質汚濁の著しい亀田川を浄化しようと、4年前から全校生挙げてEM(有用微生物群)浄化活動を継続して行い、その効果を探ろうとしました。その結果、下水道敷設エリアの拡大やEM河川浄化活動等の効果によって少しずつ水質が改善され、地域の人々も喜んでいます。この賞は、膨大な資料を整理し、緻密に科学論文にまとめ上げた自然科学部員の努力の成果と、「亀田川EM浄化活動」に協力してくれた全校生約900人の言わば「郡山六中全校生の1等賞」であります。このたびの受賞を全校生で喜び合い、地域社会活動の弾みとしたいと思います。

審査評

審査評[審査員] 中村日出夫

 郡山市内を流れる9つの河川の水質調査を7年間継続し、地域に流れる河川の水質汚濁の状況をまとめ、今後どうすれば川がきれいになるかを考察した本研究は地域環境の貴重な研究として評価できます。本研究では水生生物の調査やCOD、NO2-、導電率、pHなどの化学的調査を多くの観察地点を設定して継続的に行い、各河川の環境変化を科学的に分析し、河川の環境が徐々に改善していることを解明しています。特に、学区域を流れる逢瀬川の汚染が進んでいる原因を詳しく分析し、調査だけに留まらず、浄化活動を行って水質を改善した活動も大変評価されます。一般に環境の研究では調べることだけの研究が多く、膨大なデータは得られますが、それを活かさない研究が少なくありません。本研究ではそれぞれの河川の地域性をよく分析し、河川の環境を効果的に改善するための実質的な活動を行っていることに価値があります。

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